2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790425
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
橋本 達夫 横浜市立大学, 医学部, 助手 (20363806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 実 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (60177904)
梅村 敏 横浜市立大学, 医学部, 教授 (00128589)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 分化 / ヘパリン / angiotensinII / apelin / APJ受容体 / ミオシン軽鎖 / マウス |
Research Abstract |
培養血管平滑筋細胞および単離大動脈を用いた解析 ラット血管平滑筋細胞(VSMC)の初代培養を行い、VSMCの継代数における分化の状態を観察した。継代数とともに血管平滑筋の分化マーカーであるα-actin、SM-22、desminそしてI型angiotensin受容体などの発現が減っていたが、ヘパリン刺激によりこれらの因子がすべて回復した。さらに、ヘパリン刺激により、angiotensinII刺激によるERK、p38リン酸化の程度も回復した(FEBS lett.,2005)。ヘパリンには、継代による脱分化を抑制し、angiotensinII刺激による反応性も保持する作用があり、VSMC培養に有用であることを明らかにした。 VSMCおよび単離大動脈をAPJ受容体のリガンドであるapelinで刺激し、ミオシン軽鎖リン酸化をウェスタンブロッティングにて評価した。その結果、apelin刺激後2分をピークとするミオシン軽鎖リン酸化が観察された。細胞内情報伝達経路としてGi/o、PKC、NHE、そしてNCXの関与が示唆された。apelinによるミオシン軽鎖リン酸化はMyosin phosphatase target subunitのリン酸化を伴っていた(Arterioscler Thromb Vasc Biol., 2006)。apelinによる血管収縮のメカニズムを初めて明らかにした。血管病変におけるapelinの関与を解明する糸口となった。 APJ受容体遺伝子欠損マウスの解析 APJ受容体遺伝子欠損マウスを作製し解析を行った。本マウスではapelin投与後の血圧低下が観察されず、angiotensinII感受性が亢進していた(J.Biol.Chem,2004)。 平滑筋特異的APJ受容体遺伝子過剰発現マウスの作製(未発表) 平滑筋特異的であるsmooth muscle α-actin promoterとAPJ受容体遺伝子を融合したトランスジーンを構築し、マウス受精卵へのマイクロインジェクションを行った。トンランスジーンをゲノムに含むマウスが5系統得られ、そのうち大動脈におけるAPJ受容体遺伝子の発現が最も多かったものと中等度に発現しているものの2系統を選別した。本マウスでは、apelin投与によって、一過性の血圧上昇が認められた。apelinによる血管収縮作用が、個体レベルでは血圧上昇をも引き起こす強力なものであることを明らかにした。今後は、動脈硬化症への関与について解析を行う。
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Research Products
(6 results)