2004 Fiscal Year Annual Research Report
不全心筋に対する移植細胞の生着に及ぼすサイトカイン,一酸化窒素の影響の検討
Project/Area Number |
16790427
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
計良 夏哉 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (50267829)
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Keywords | サイトカイン / IL-1β / ノックアウトマウス / 血管内皮前駆細胞 / 成長因子 / 細胞移植治療 |
Research Abstract |
心筋虚血を原因とする重症心不全において、血管内皮前駆細胞の移植治療の効率を高めるため、不全心筋において、どのようなサイトカインが産生され、それらが、移植細胞の障害心筋への生着に対しどのような影響を及ぼしているかの解明を初年度の達成目標とした。代表的なサイトカインとして、初年度は、IL-1βに注目し、IL-1βノックアウトマウスを用いて解析した。また障害心筋モデルとして左冠動脈結紮による心筋虚血モデルや大動脈結紮による心筋圧負荷モデルを作成し、IL-1βがこれらの条件下において障害心筋にいかなる影響を及ぼすか検討を行った。まず、IL-1βが、心筋虚血作成後12時間内に、叉は、心筋圧負荷開始後48時間以内に、それぞれ7倍亢進、3倍に亢進する事を確認した。次に、IL-1β欠損マウス(ノックアウトマウス)において心筋虚血モデルを作成し、野生型マウスでモデル作成した個体と、移植細胞の生着の観点から種々の点について比較検討行った。まず、心筋虚血作成後24時間における接着因子ICAM, VCAMの、虚血心筋における発現が、野生型に比べIL-1β欠損マウスにおいて、30%程度に減弱していた。又、虚血数日後の心筋において、血管内皮細胞増殖因子である、VEGE, FGF、及び、HGFの発現が、IL-1β欠損マウスにおいて、野生型に比べ、それぞれ、40%、70%、及び、40%程度まで減弱した。さらに、心筋細胞的な成長因子であるIGF壬の産生も、IL-1βノツクアウトマウスにおいて、野生型と比較し30%程度に減弱していた。さらに虚血心筋におけるアポトーシス細胞数も、IL-1β欠損マウスで50%程度増加していた。このように、初年度の研究において、IL-1βは、血管内皮前駆移植細胞の正着、生存に必要な接着因子や、成長因子の発現亢進などに関わる事があきらかとなってきた。
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