2004 Fiscal Year Annual Research Report
受容体多型性解析による拡張型心筋症におけるβ遮断薬に対する反応多様性の機序解明
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16790428
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
竹本 恭彦 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20364002)
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Keywords | 拡張型心筋症 / アドレナリンβ受容体遮断薬 / レスポンダー / 冠血流予備能 / 局所心筋運動不均一性 |
Research Abstract |
社会高齢化に伴い心不全は増加傾向にあり、拡張型心筋症はその主要原因疾患である。近年アドレナリンβ受容体遮断薬が本疾患に対し有効であることが明らかとなり、現在では本疾患に対する標準的治療薬のひとつとなっている。しかしながら、アドレナリンβ受容体遮断薬に対する著効例と無効例が存在することが本治療法の問題点であり、その機序を解明すべく以下の検討を行った。1)まずその反応性の差異を生じる機序を解明する一手段として、β受容体遮断薬投与による冠血流予備能の改善効果の有無を検討した。冠血流予備能の程度を判定する目的で、アデノシン負荷を施行した。その結果、拡張型心筋症においては健常者より冠血流予備能は低下しているが、アドレナリンβ受容体遮断薬を投与することで低下していた冠血流予備能が改善する、という新たな知見を得た。この新たな知見は、Journal of the American College of Cardiology 2005 45(2):318-319において報告した。2)つぎに、拡張型心筋症においては左心室の心筋障害の程度は心筋局所間で不均一であり、そのため心拍出が非効率となり、心不全を生じる。こうした局所心筋の運動の不均一性が、アドレナリンβ受容体遮断薬により改善されるか否かを検討した。その結果、アドレナリンβ受容体遮断薬投与により局所心筋運動の不均一性が改善される、という新たな知見を得た。Journal of the American College of Cardiology 2005 45(3) supplement A:289Aに報告し、この結果をまとめた論文を現在投稿中である。現時点では、アドレナリンβ受容体遮断薬が有効性を生じる機序解明については一定の結果を得たものと考えるが、有効例と無効例が生じる機序解明につき、受容体多型性解析を含め、今後さらに検討を進める。
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