2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790433
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菅野 康夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00317124)
|
Keywords | 心筋梗塞 / 虚血 / 再潅流障害 / 好中球 / 接着因子 / コロニー刺激因子 |
Research Abstract |
ラットの心筋梗塞モデルで、G-CSFの保護的効果について検討した。梗塞後1週間、GCSF(20μg/kg/day、MI-GCSF)を投与した群では、生理食塩水を投与した群(MI-saline)と比し、左室圧上昇速度の最大値(max dP/dt)が有意に高く、心臓超音波での左室拡張期および収縮期径が有意に低値で、左室内径短縮率はより高値であった。梗塞後3日後における梗塞部TGF-β_1のmRNA発現はMI-salineと比べ、MI-GCSFにおいて有意に亢進していた。梗塞部におけるI型ならびにIII型プロコラーゲンのmRNA発現はMI-GCSFにおいて、梗塞3日後で有意に高く、発現のピークはより早期であった。また、MI-GCSFにおけるTGF-β_1の蛋白の発現は、MI-salineに比し、梗塞後3日において亢進していた。非梗塞部でのこれらのmRNAおよび蛋白の発現は、両群ともに差がなかった。組織学的検討では、梗塞サイズは両群とも同程度であったが、梗塞後7日における膠原線維の沈着はMI-GCSF群で、より著明であった。このことから、心筋梗塞後早期において、G-CSFを投与による心機能改善効果が明らかとなった。この効果は梗塞後治癒過程において膠原線維生成が促進し、梗塞部進展を予防することによりもたらされることが示唆された。 ラット虚血/再潅流モデルにおいても、障害心筋に対する同様な保護的効果が期待され、現在、左冠動脈起部を30分閉塞/120分再潅流させるモデルで、G-CSFがもたらす心機能改善効果について研究中である。
|
Research Products
(1 results)