2004 Fiscal Year Annual Research Report
C蛋白で誘発した心筋炎・拡張型心筋症の発症機序の解明と特異免疫療法の開発
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16790442
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
神山 邦子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (80301795)
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Keywords | C蛋白 / 自己免疫性心筋炎 / 拡張型心筋症 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
1.C蛋白誘発自己免疫性心筋炎・拡張型心筋症の作製と病態解析 Lewisラットに組換えC蛋白317-647残基部分(フラグメント2)を免疫し、安定な心筋炎モデルを作製した。臨床経過(生存曲線)を観察すると共に、経時的にラットを屠殺して心臓の病理像を検索し、従来の部分精製抗原(ミオシン)免疫と同様の病態を示すことを確認した。一方、各臓器におけるサイトカイン・ケモカインの定量分析を行った結果、急性心筋炎から拡張型心筋症に移行する時期に、MCP-1、IP-10、TNF-αの上昇が認められるという知見を得た。 2.擬似ケモカイン受容体遺伝子の創製と有効性の検討 ケモカイン受容体(MCP-1に対するCCR2、IP-10に対するCXCR3)分子内でリガンドが結合する部分をコードする遺伝子を非ウイルス性の哺乳類発現ベクターに組込み、擬似遺伝子ベクターを作製した。これらのベクターをC蛋白免疫後のラットに筋注投与したところ、顕著に心筋炎を軽症化することが示された。ケモカイン定量分析の結果、ベクター治療群ではIP-10の発現減少が認められたことから、生体内で翻訳された擬似受容体蛋白が期待通りケモカインと結合しその作用を中和することによって、疾患を抑制する効果をもつと考えられた。従って、擬似遺伝子ベクターは将来ヒト疾患に応用し得る、有用な治療薬であると言える。今後はより効果的な投与ルートや、細胞への取込み補助剤の検討を予定している。
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