2004 Fiscal Year Annual Research Report
NKG2Dリガンド遺伝子導入による抗腫瘍効果増強の検討
Project/Area Number |
16790443
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 彰 東北大学, 病院, 助手 (70361087)
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Keywords | 自然免疫 / NK細胞 / RAE-1 / アデノウイルスベクター / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
本研究は、難治性固形腫瘍である肺癌に対して、NK細胞などのいわゆる自然免疫を介した抗腫瘍効果増強の検討を目的としている。その作用機序としては、NK細胞膜表面上に発現するNKG2D受容体のリガンドであるretinoic acid inducible early transcript-1β(RAE-1β)の関与が重要とされ、実際に我々はRAE-1を発現している腫瘍株であるYAC-1において、発現していない腫瘍株であるEL-4と比較して、マウス由来NK細胞による抗腫瘍活性が増強することを確認した。その後、RAE-1のcDNAをクローニングし、それを組み込んだRAE-1発現アデノウイルスベクター(AdRAE-1)を作製し以下の実験に用いた。 AdRAE-1を前述のEL-4に感染させ、RAE-1に対するポリクローナル抗体を用いFACSにてRAE-1発現状況を確認したところ、新たにRAE-1の発現が得られることを確認した。AdRAE-1によりex vivoにRAE-1発現を増強させたEL-4を、C57/BL6マウス(雌、6〜8週齢)に移植したところ、対照としてAdNullを感染させたEL-4(RAE-1発現なし)では腫瘍の増大が認められたのに対し、AdRAE-1感染EL-4では、腫瘍は完全に拒絶された。 さちに、既にEL-4が増大した状態のマウスに対して、AdRAE-1を1X10^9pfu投与したところ、対照のAdNull群およびアデノウイルスベクター無投与群では腫瘍の増大傾向に変化が認められなかったのに対し、AdRAE-1投与群では、明らかな腫瘍増大の抑制効果が認められた。 上記の結果は、自然免疫系を介した腫瘍制御の戦略として、NKG2Dリガンドが有用である可能性を示すとともに、その投与経路としてアデノウィルスを用いた遺伝子導入が有用であることを示唆するものと考える。
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Research Products
(2 results)