2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症にともなう骨病変の病態生理と進行抑制に関する研究
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16790468
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
岩崎 香子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助手 (10360059)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 低代謝回転型骨 / 高血糖 / 尿毒症毒素 / 骨形態計測 |
Research Abstract |
【背景および目的】無形成骨症は腎不全患者にみられる骨疾患(腎性骨症)のひとつであり、極端な代謝回転の低下を呈する。この疾患を有する患者の多くが糖尿病性腎症である。糖尿病性腎症における骨病変は、糖尿病と慢性腎不全という二つの要因により支配されていると考えられる。しかしながら、このような複雑な背景をもつ骨病変の発症機序および病態生理は未だ明らかではない。本研究では、とりわけ骨の代謝回転の変化に着目し、モデル動物を用いて糖尿病性腎症に伴う骨病変の異常について解析した。【方法】低用量(40mg/kg)ストレプトゾトシン(STZ)を投与して高血糖を呈する糖尿病ラットを作成し(DM群)、その動物に部分腎摘(Nx)を行い、糖尿病および腎機能低下を伴う糖尿病性腎症モデルラット(DN群)を作製した。STZおよびNxを行わない正常群(N群)も設定した。飼育期間中、血糖値、腎機能を経時的に確認した。解剖時に採血および脛骨を摘出し、生化学検査および骨形態計測を行い、両群の比較を行った。【結果】DM群ではN群に比べ血糖値の持続的高値が観察されたがDN群ではNx後12週でDM群に比べ有意な低値を示した。血清CreはNx後12週でDN群が有意な高値を示した。骨形態計測よりN群に比べDM群で骨形成および骨吸収パラメータの有意な低下を示した。中でもDM群の骨形成率はN群の約27%にまで低下していた。一方、DN群では両パラメータともさらに低下し、骨形成率はN群の6%にまで低下していた。【考察】以上の結果より高血糖による骨の細胞機能異常に加え、腎機能低下によって蓄積する尿毒症毒素が付加的に関与し、骨代謝回転低下を加速する可能性が示唆された。したがって、透析患者に高頻度に見られる無形成骨症の発症には、高血糖による細胞毒性と、腎機能低下による尿毒症毒素の蓄積である可能性が強く支持された結果であると考えられた。
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