2006 Fiscal Year Annual Research Report
維持透析患者の動脈硬化性病変における酸化的ストレスの影響
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16790472
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
福岡 利仁 杏林大学, 医学部, 助手 (70372919)
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Keywords | 血液透析 / 慢性腎不全 / 動脈硬化 / 酸化アルブミン / AGEs |
Research Abstract |
維持透析症例における高頻度な動脈硬化性病変の発現のメカニズムを明らかにし、こうした疾患の早期発見、予防の見地から血中の酸化アルブミン(HNA)と還元型アルブミン(HMA)の特定を行ってきた。この結果、個々の透析症例でHNA/HMA比にバラツキはあったものの、HNA/HMA比に大きく影響を与えた因子は透析効率と原疾患であることが示唆された。特に、糖尿病症例ではHNA/HMA比が高く、同時に動脈硬化性疾患もPWVや頸動脈エコーによるIMDの評価から高度な動脈硬化と判断された例が多く認められた。そこで、糖尿病性腎症症例における血管病変と関連が深いと考えられているAGEとHNA/HMA比の関連についても検討を行った。AGEとしては、従来よりしばしば測定されてきたペントシジンとメイラード反応関連物質の指標MRXの測定を行った。この結果、HNA/HMAはAGEとの間に相関が見られたが、特に非糖尿病性腎症症例においても興味深いことに同様の結果が得られた。一般に蛋白の非酵素的糖化は血糖値と相関して上昇することが示されているが、今回の透析症例の検討ではAGEは必ずしも血糖の高い症例でのみ上昇がみられるわけではなく、血糖の正常な症例でも認められ、こうした糖化蛋白はHNA/HMA比と相関していることが示され、アルブミンの酸化と糖化蛋白の間に何らかの傾向が存在する可能性が示唆された。 HNA/HMA比の透析症例についての縦断的検討については、パイロットとして3例で観察したものの、明らかな傾向が見られず、現在対象症例、測定条件の再検討を行っている。また、多施設問の共同研究プロジェクトも今後は発展させてゆきたい。
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