2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランスサイレチン アミロイドーシスにおける中枢神経病変の発生機序とその治療
Project/Area Number |
16790485
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
矢崎 正英 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (70372513)
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Keywords | トランスサイレチン(TTR) / アミロイドーシス / 髄膜型TTR変異 / 非髄膜型TTR変異 / 四量体 / 単量体 |
Research Abstract |
トランスサイレチン(TTR)型アミロイドーシスにおける中枢神経病変の発生機序を明らかにするため、本年度は以下の実験を実施した。 1)検体の採取 中枢神経系に病初期からTTR由来のアミロイド沈着が顕著となるTTR変異(髄膜型)Asp18Gly、Ala25Thr、Val30Gly、Tyr69His、Tyr114Cysを有する患者5名の血清とAsp18Gly、Ala25Thr、Tyr114Cysを有する患者3名の脳脊髄液を採取、あるいは他施設より供与してもらい凍結保存した。またVal30Met、Val30Leu、Tyr69Ile、Tyr114Hisなどの中枢神経へのアミロイド沈着が目立たないTTR変異(非髄膜型)を有する患者9名の血清と6名の脳脊髄液を採取あるいは、供与にて収集し凍結保存した。 2)変異TTRの同定 患者血清あるいは髄液中のTTR分子を免疫沈降法にて回収し、MALDI/TOF Massを用いて正常型と変異型TTRの比率を解析した。今までに得られた結果では、髄膜型TTR変異患者では、血清中の変異TTRのMassにおけるピークはほとんど検出されなかったが、脳脊髄液中では血清に比して小さいながらも変異TTRのピークは認められた。非髄膜型TTR変異患者では、血清・脳脊髄液とも正常型と変異型TTRの比率は、ほぼ1:1であった。以上の結果の解釈として、髄膜型TTR変異では、血清中では変異TTRが非常に不安定で、turn overが早く、末梢神経や内部臓器に沈着すらできず、一方脳脊髄液中では、若干変異TTRが安定となり、単量体変異TTRが中枢神経系に沈着しやすくなっている可能性を考えている。 3)脊髄液中の変異TTRのTTR四量体への関与 現在TTR型アミロイドーシスは、安定である四量体TTRが不安定な単量体へと解離し、この単量体TTRがアミロイド原性となり組織に沈着することが考えられている。 次年度は、脳脊髄中で四量体TTRと単量体TTRをゲル濾過クロマトグラフィーにて分離・精製し、髄膜型と非髄膜型で、正常型と変異TTRの比率をMALDI/TOF Massを用いて解析し、髄膜型変異では変位TTRがどの程度四量体の構成に関与しているかを検討し、特に髄膜型TTR変異患者において中枢神経病変の発生機序を明らかにする予定である(現在Massによる解析を施行中)
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Research Products
(5 results)