2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗GluRε2抗体陽性成人脳炎の臨床と抗GluRε2抗体の特異性に関する研究
Project/Area Number |
16790486
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
木村 暁夫 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (00362161)
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Keywords | 抗GluRε2抗体 / 非ヘルペス性辺縁系脳炎 / 難治性痙攣 / 健忘 |
Research Abstract |
平成15年より現在に至るまで当院を受診した脳炎・脳症の患者に対し、ウェスタンブロット法による抗GluRε2抗体を測定した。そのうち4例が髄液中のIgM抗GluRε2抗体が陽性を示した。これら4例の臨床診断は3例が非ヘルペス性辺縁系脳炎(NHLE)で1例が原因不明の髄膜脳炎であった。全例経過中に二次性全般発作を呈し痙攣重積状態に至った。3例にステロイドパルス療法を施行し、うち2例に痙攣発作の減少がみられた。全例で後遺症として健忘を残した。なお4例中3例で経過とともに抗体の陰性化が確認された(残り1例は現在確認中)。発症直後の頭部MRIではNHLEの2例で両側性に1例で片側性に側頭葉内側面の異常信号域を認めた。他の1例では明らかな異常は認めなかった。その後のfollow upのMRIではNHLEの3例では両側の側頭葉内側の萎縮性変化を呈した。以上より抗GluRε2抗体陽性成人脳炎の臨床的特徴として、NHLEを呈し難治性痙攣発作をきたし、後遺症として健忘を残すものが多いことが示唆された。またステロイドへの部分的反応、抗体陰性化の経過から免疫学的背景が示唆された。 現在ラット脳切片に対しこれら4例の患者血清および髄液を一次抗体としABC法による免疫組織化学的解析を施行中である。 以上の結果は、第46回日本神経学会総会(平成17年5月25日、鹿児島)にて発表の予定である。
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