2005 Fiscal Year Annual Research Report
家族性筋萎縮性側索硬化症における変異SOD1特異的銅親和性の解析
Project/Area Number |
16790488
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長野 清一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40362727)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / SOD1 / 銅 / IMAC / システイン |
Research Abstract |
家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)でみられるCu, Zn-superoxide dismutase(SOD1)変異による発症機序は未だ明らかではないが、この点につき昨年度我々はImmobilized metal affinity chromatography(IMAC)を用いた検討により数種の変異SOD1がいずれも野生型SOD1よりも高い銅親和性を持つことを見出した。そこで本年度は変異SOD1での異常銅親和性の責任部位を同定するため、銅親和性をもつアミノ酸の1つであるシステイン残基を変異SOD1内でそれぞれ置換し、その銅親和性に与える影響を解析した。その結果SOD1の分子内ジスルフィド結合に関与するCys57のセリンへの置換(C57S)では変異SOD1の銅親和性はむしろさらに上昇したが、Cys111の置換(C111S)ではその銅親和性はもとの変異SOD1よりも低下した。非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動の泳動パターンは変異SOD1は野生型SOD1よりも高分子側にシフトしたが、C57S置換ではさらに高分子側に移動した。ところがC111S置換では低分子側にシフトし、野生型SOD1に近い泳動パターンとなった。シクロヘキシミド蛋白合成抑制によるSOD1蛋白の安定性の解析では変異SOD1は野生型SOD1よりも不安定であったが、C57S置換により変異SOD1はさらに不安定となった。逆にC111S置換では変異SOD1は安定化した。Neuro2A細胞でみられた変異SOD1の神経毒性効果はC111S置換により軽減した。以上より変異SOD1とそのシステイン残基置換種のIMAC銅親和性と蛋白高次構造、蛋白安定性、神経細胞毒性には相関がみられ、変異SOD1の異常銅親和性を介した銅結合とそれによる酸化的ストレスがFALSの発症要因となっている可能性が示唆された。
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