2004 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞白血病におけるエピジェネティック発がん機構の解析と診断・治療への応用
Project/Area Number |
16790535
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安永 純一朗 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (40362404)
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Keywords | HTLV-I / ATL / DNA methylation / KLF4 / EGR3 / MEL1S / apoptosis |
Research Abstract |
MCA/RDA法を用いてHTLV-IキャリアのDNAに比してATL細胞で高メチル化状態にあるDNA断片を53種類、低メチル化状態にある断片を3種類単離した。単離した領域の高メチル化および低メチル化をcombined bisulfite restriction analysis法およびbisulfite sequence法にて確認した。高メチル化領域に関してはHTLV-Iキャリアから慢性型ATL、急性型ATLと病勢の進行に伴いメチル化の程度が強くなることが判明した。単離した高メチル化領域の近傍にある遺伝子の発現をRT-PCR法にて解析したところ、Kruppel-like factor 4(KLF4)、early growth response 3(EGR3)、Versican、prostaglandin D2 receptor(PTGDR)、beta-2 adrenergic receptor(ADRB2)など7遺伝子の発現がATL細胞株にて抑制されていた。また低メチル化領域に関してはMEL1SがATL細胞株で異常発現していることが判明した。発現抑制されていたKLF4およびEGR3をATL細胞株ATL-43Tに強制発現させたところアポトーシスを誘導した。EGR3に関してはFasLの誘導を介したFas-FasL系のシグナルによるアポトーシスであることが判明した。ATL細胞株で異常発現していたMEL1SをマウスのT細胞株であるCTLL-2に強制発現させるとTGF-βに対する感受性が低下した。以上の結果よりATL細胞はDNAの高メチル化、低メチル化を介してアポトーシス抵抗性やTGF-β抵抗性を獲得していると考えられ、これらのエピジェネティックな異常は腫瘍化メカニズムの一端を担っていると示唆される。現在KLF4およびMEL1Sのトランスジェニックマウスを作成しこれらの機能解析を行っている。
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