2004 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ疾患遺伝子Db1プロトオンコジーンによる分子病態メカニズム解明
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16790553
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
駒井 浩一郎 神戸大学, 医学部, 助手 (40304117)
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Keywords | 関節リウマチ / 疾患遺伝子 / Db1プロトオンコジーン |
Research Abstract |
これまでに関節リウマチ(RA)疾患遺伝子候補としてDb1プロトオンコジーンのエクソン23,24欠失型スプライシングバリアント(Db1/de1)を見出し、低分子量Gタンパク質Cdc42に対するグアニンヌクレオチド交換活性が低下していることをin vitroで明らかにしている(Komai et al., BBRC,299(3),455,2002)。そこで本年度はRAの滑膜細胞におけるCdc42結合性機能分子(エフェクター)の同定を行い、Db1/de1が影響を及ぼす下流シグナル経路の解明およびDb1の細胞内分子局在性解析を行った。 初代培養RA滑膜細胞の全タンパク質からdominant negative (DN), constitutive active (CA) Cdc42-GSTを用いてWest-western法および各Cdc42(DN, CA)結合タンパク質をアフィニティ沈降法により単離し比較解析した結果、分子量約40,50,60kDaの分子のCdc42(CA)特異的結合が認められ、特に60kDa蛋白質は免疫沈降の実験結果からWASPと推定された。さらに正常型/2エクソン欠失型Mycタグ付加Db1をHeLa細胞にて過剰発現させコンフォーカル顕微鏡にて細胞内局在性を解析した結果、両者は共に細胞質に存在し差異は認められなかった。そこで各種イノシトールリン脂質に対する結合性を解析した結果、Db1/de1は特にPIP3結合性に変化が認められた。 これらのことから、非刺激下では正常型/2エクソン欠失型Db1の細胞内分布に差異はないが、Db1/de1では2エクソン欠失によるCdc42活性化機能低下に加えて、PIP3結合性低下により刺激下での作用部位である細胞膜近傍への移動性も低下しており、これらの相乗効果として特にWASPを介したアクチン重合へ影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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