2004 Fiscal Year Annual Research Report
全身性エリテマトーデスの病態形成における抗リボソームP抗体の役割の解析
Project/Area Number |
16790560
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
永井 立夫 帝京大学, 医学部, 助手 (60365947)
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Keywords | 抗リボソームP抗体 / 全身性エリテマトーデス / ヒト末梢血単球 / リボソームP抗原 / TNFα / IL-6 / Fcγ受容体 |
Research Abstract |
抗リボソームP抗体は陽性率は低いものの全身性エリテマトーデス(SLE)に非常に特異性の高い自己抗体で,本抗体とSLEのいくつかの病態との関連が明らかにされているが,その病因論的意義については不明である。本年度は,これまで未検討である抗リボソームP抗体の標的抗原のヒト末梢血単球表面上での発現および抗リボソームP抗体が単球の機能におよぼす影響について検討した。抗リボソームP抗体は8名のSLE患者血清から,アフィニティー精製により得られた。対照として健常人IgGおよび抗リボソームP抗体を除いた同じ患者IgG分画を用いた。フローサイトメトリーによる解析の結果,抗リボソームP抗体は精製したばかりの健常人末梢血単球表面と結合しないが,平底プレート上で48時間培養した単球表面と有意な結合を示した。この結合は,染色時に合成リボソームPペプチドを添加することにより,ほぼ完全に阻止された。対照IgGに比し,平底プレート上で抗リボソームP抗体とともに120時間培養した健常人単球の培養上清中のTNFαおよびIL-6の濃度は統計学的に有意に上昇していた。抗リボソームP抗体のF(ab')_2フラグメントが単球のTNFαおよびIL-6の産生におよぼす影響はIgG型の抗リボソームP抗体と同程度であった。さらに,リアルタイムPCR法により,抗リボソームP抗体は,対照IgGに比し,健常人単球のTNFαおよびIL-6のmRNA発現を統計学的に有意に促進することが示された。以上の結果より,リボソームP抗原は,単球の活性化に伴いヒト末梢血単球表面上に発現し,抗リボソームP抗体は,Fcγ受容体の架橋を要さない機序により活性化した単球のTNFαおよびIL-6の発現を促進することが明らかとなった。抗リボソームP抗体は単球のTNFαおよびIL-6の発現を増強することにより,SLEの様々な病態に関与する可能性が示唆された。
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