2005 Fiscal Year Annual Research Report
全身性エリテマトーデスの病態形成における抗リボソームP抗体の役割の解析
Project/Area Number |
16790560
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
永井 立夫 帝京大学, 医学部, 助手 (60365947)
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Keywords | 抗リボソームP抗体 / 全身性エリテマトーデス / IFN-γ / IL-12 / Th1 |
Research Abstract |
抗リボソームP抗体は全身性エリテマトーデス(SLE)に非常に特異性の高い自己抗体で、本抗体とSLEのいくつかの病態との関連が明らかにされているが、その病因論的意義については不明である。本年度は、これまで未検討である抗リボソームP抗体がTh1/Th2型反応におよぼす影響を検討した。 抗リボソームP抗体はSLE患者血清からアフィニティー精製により得られた。対照として健常人IgGおよび抗リボソームP抗体を除いた同じ患者IgG分画を用いた。 1.対照IgGに比し、抗リボソームP抗体とともに120時間培養した健常人PBMCの培養上清中のIFN-γは有意に上昇しており、この効果はマウス抗IL-12抗体を添加することにより抑制された。同じ上清中のIL-4は検出限界以下であった。 2.フローサイトメトリーによる解析の結果、抗リボソームP抗体はCD14陽性細胞表面のCD80およびCD86の発現に影響をおよぼさなかった。 3.抗リボソームP抗体は、抗CD3抗体64.1にて刺激した健常人末梢血CD4陽性T細胞のIFN-γの産生に影響をおよぼさなかった。 4.抗リボソームP抗体は、対照IgGに比し、健常人末梢血単球のIL-12の産生を有意に促進することが示された。 以上の結果から、抗リボソームP抗体はヒト末梢血単球からIL-12の産生を促進することによりTh1型反応を誘導すると考えられた。抗リボソームP抗体はTh1型反応を誘導することにより、SLEの様々な病態に関与する可能性が示唆された。今後の課題として、フローサイトメトリーにてCD4陽性T細胞内のIL-4を測定する系を確立し、抗リボソームP抗体がIL-4の産生に影響をおよぼしていないか確認する必要がある。
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