2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790564
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐々木 伸也 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (10344590)
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Keywords | Bach2 / B細胞 / Ph1陽性ALL / 転写因子 / 分子生物学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Bach2遺伝子の異常が実際ヒトの悪性腫瘍の発症原因となっているかを明らかにしていくことにある。 以前我々はB細胞性悪性リンパ腫の検体で、マイクロサテライトマーカーを用いて正常組織と比しその20%という高確率でBach2遺伝子のLOH(loss of heterozygosity)を認めた。今回我々はLOHの認められた検体で正常と思われる遺伝子上にBach2遺伝子のmutationなどの遺伝子異常が存在するのかを検討したが、Bach2遺伝子のmutationは残念ながら存在しなかった。 各種Ph1陽性ALL細胞株においてレトロウイルスベクターを用いてBach2を遺伝子導入し強制発現させる予定であったが、Ph1陽性ALL細胞株においてはBach2の遺伝子導入が今のところ成功に至らず、CML細胞株であるRaji細胞にBach2を遺伝子導入したものでその薬剤投与後の変化の有無について解析を行った。 その結果、Bach2陽性Raji細胞ではMTX, VCR対する薬剤感受性の亢進は認めなかったが、酸化ストレスを誘導するVP-16,DNR, Ara-C投与において、薬剤感受性が亢進していた。また、VP-16,DNR, Ara-C投与下では細胞内酸化物量の増加が認められ、細胞質から核への局在の変化が認められた。Bach2は非抗癌剤存在下では細胞質に局在しており、これらの結果から、Bach2は活性化酸素を誘導するタイプの抗癌剤によって核に蓄積し、細胞死を誘導することが明らかとなり、それらの薬剤を有効に組み合わせることによりPh1陽性ALLの治療において治療効果がより高くなる可能性が示された。
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