2004 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイとBACコンティグを用いた神経芽腫発症の分子機構の解析
Project/Area Number |
16790568
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝田 順子 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00359621)
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Keywords | 神経芽腫 / がん抑制遺伝子 / 1p36ホモ欠失 / 発現プロファイル / API2 / p19INK4D / BAF60c |
Research Abstract |
これまでの科研費のゲノムプロジェクトで作成した1p36領域の35MbのBACコンティグを用いて、神経芽腫細胞株で約500kbのホモ欠失をみいだし、ショットガン法でこの領域のシークエンスを決定した。その結果、7個の候補遺伝子を検出した。その中のKIF1Bα、KIF1Bβ、DFF45遺伝子を検討したが神経芽腫における変異の頻度は低く、この領域の近傍に存在するこれら以外の遺伝子が神経芽腫の候補がん抑制遺伝子である可能性が示唆された。このため1p36に座位するcaspase 9とRUNX3遺伝子等についてもPCR-SSCP法とリアルタイムPCR法を用いて、神経芽腫の細胞株25株、新鮮腫瘍50例につき解析したが、有意な変異は検出できなかった。このためcaspase 9とRUNX3は神経芽腫の発生や進展に関与している可能性は低いと考えられた。次に神経芽腫における発症分子機構を解明するために、癌関連遺伝子を約1700個網羅するHuman Cancer Arrayを用いて神経芽腫の新鮮腫瘍20例につき発現プロファイル解析を行った。その結果、約500個の遺伝子が神経芽腫の進展例と早期例で発現の差のみられた遺伝子として検出された。このうち有意差P値の高いAPI2、p19INK4DおよびBAF60cの計3個の遺伝子につき、リアルタイムPCR法により50例の新鮮腫瘍での発現定量解析を行なった。API2、p19INK4Dは予後良好群で有意に高発現が認められ、逆にBAF60cは予後不良群で有意に高発現が認められた。このためこれらの遺伝子は神経芽腫の発症や進展に関与することが判明し、新たな予後規定遺伝子となりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)