2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイとBACコンティグを用いた神経芽腫発症の分子機構の解析
Project/Area Number |
16790568
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝田 順子 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00359621)
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Keywords | 神経芽腫 / がん抑制遺伝子 / 遺伝子増幅 / LOH / DNAアレイ / MYCN遺伝子 |
Research Abstract |
神経芽腫(NB)は脳腫瘍に次いで頻度の高い小児固形腫瘍であるが、その発症の機序は十分に解明されていない。一方、腫瘍細胞で高頻度に観察されるゲノムの増幅・欠失などの変化は、しばしば腫瘍の発症機序と密接な関連を有することが知られており、これらの異常を網羅的に解析することは腫瘍の多様な分子機構を解明する上で有力な手段と考えられる。そこで本年度はNB細胞株25株、新鮮腫瘍30例にっき、12〜25万個のSNP特異的オリゴヌクレオチドプローブを搭載した(Affymetrix【○!R】Gene Chip【○!R】 50k、250k array)を用いて、NBにおけるmolecular allelo-karyotyping解析を行った。アレイ解析の結果は、HSH解析、PCR-SSCP法、直接塩基配列決定法およびreal-time PCR法を用いて検証を行った。解析した細胞株25株中20株と新鮮腫瘍の30例中10例で従来より知られているMYCN領域の増幅を確認し、このうち18株でMYCNの近傍に新たな増幅シグナルを検出した。またこれまでに報告のない7q、11q、15qなどの高度増幅も検出された。また同様に従来より報告のある17qの増幅も細胞株20株中12株、新鮮腫瘍30例中21例で検出され、この領域内に約700kbの新規高度増幅領域を計7例の検体で検出した。この700kbの領域内には唯一の構造遺伝子が存在することが判明し、この遺伝子の発現解析を行ったところ、ゲノムの増幅のみられる症例では有意な高発現が観察された。これ以外にもLOHやアレル不均衡、およびホモ欠失が多数検出された。以上より、NBで最も頻度の高いゲノム変異である17qの増幅領域内に新規高度増幅遺伝子(NBA17)を同定したが、複数の検体でこの遺伝子の高発現が観察されたことより、NBA17がNBの発症や進展に関与する新規がん遺伝子であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)