2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症細胞による糸球体上皮細胞障害機序の解明と診断への応用
Project/Area Number |
16790569
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池住 洋平 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70361897)
|
Keywords | 活性化マクロファージ / 慢性糸球体腎炎 / TNF-α / 糸球体上皮細胞 / ネフリン |
Research Abstract |
(1)ヒトの慢性糸球体腎炎におけるSialoadhesin(CD169)陽性マクロファージ(MQ)浸潤の病的意義 sialoadhesin(Sn)は活性化マクロファージ(MQ)に特異的に発現する抗原であり、申請者はこれまでに、ヒトの腎生検材料を用いてSn発現の検討を行い、各種の慢性増殖性糸球体腎炎でSn陽性MQの浸潤を認め、これらが糸球体および間質障害の進展機序に関与することを見出し、2004年にアメリカ腎臓学会ならびに欧文誌にて発表した(Nephrology Dialysis Transplantation 20,2005)。また、小児および成人IgA腎症の病理組織学的な違いを検討し、病初期から小児、成人間に違いがあること、その成因にSn陽性活性化MQが関与する可能性を見出し、2006年にアメリカ腎臓学会ならびに欧文誌にて発表した(11.研究発表の項に記載)。 (2)活性化MQ由来のTNFαによる糸球体上皮細胞(GEC)障害 上述のSn陽性活性化Mφの機能を解析する目的で、マウスのMφ細胞株(J744.1)および糸球体上皮細胞(GEC)を用いた培養実験により、Sn陽性MQによるGEC障害機序を検討した。 J744.1はMCP-1に代表されるケモカインやIFNγなどの炎症性サイトカインによって活性化し、腎炎モデルにみられる機序と同様の刺激過程でSnの発現が増強することを確認した。さらに、Snが強発現される環境下でJ744.1Mφ由来のTNFα発現が増強し、GECに発現するスリット膜関連分子(ネフリン、ポドシン)の発現を減弱することを見出した。スリット関連蛋白は糸球体において蛋白尿制御機構の一環を担う重要な分子であることが知られており、本研究結果から活性化MQがTNFαの産生を介してGECを直接障害しうることを明らかにし、2005年アメリカ腎臓学会に発表し、現在論文の投稿準備中である。
|
Research Products
(1 results)