2005 Fiscal Year Annual Research Report
HGF(肝細胞増殖因子)を用いたAlport症候群の遺伝子治療法の検討
Project/Area Number |
16790570
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊東 達雄 新潟大学, 医歯学系, 助手 (40345533)
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Keywords | Alport症候群 / Alportモデルマウス / HGF / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
1.筋肉へのHGF遺伝子導入による血流を介したHGFの腎障害進展に対する抑制効果の検討。 ヒトHGF(hHGF)は僅か4週間の発現期間であるにもかかわらず有効性を発揮していたこと、hHGFと比較してmouse本来のHGFは抗体産生の可能性がなく長期投与が可能であることから、本年度はAlport症候群モデルマウス(Col4a4 Koマウス)にmouse HGF(mHGF)をエレクトロポレーション法により反復導入して有効性を検討した。尿蛋白/クレアチニン比は無治療群に比べ、8週齢、12週齢、16週齢においてmHGF遺伝子導入群で有意に抑制された。さらに生存期間はmHGF導入群で有意に延長した。 また、HGFが筋肉細胞特異的に発現・分泌されるHGF tgマウスをCol4a4 Koマウスと交配し、HGF tg/Col4a4 koマウスを作成した。このマウスの尿蛋白と腎病理組織などを経時的に検討し、対照群にHGF tg(-)/Col4a4 koマウスを用いた。蛋白尿は、12週齢のHGF tg/Col4a4 ko群で有意に抑制された。病理組織では、8週齢での糸球体上皮細胞数の減少および12週齢での半月体形成のいずれもが、HGF tg/Col4a4 ko群で有意に抑制された。さらに12週齢のHGF tg/Col4a4 ko群の電顕像では、糸球体基底膜(GBM)の肥厚および層状化は僅かで、上皮細胞の足突起も保たれていた。また、HGF tg/Col4a4 ko群では、糸球体でのTGF-β1,PDGFの増加が抑制された。生存期間は、HGF tg/Col4a4 ko群で有意に延長した。 2.研究の総括。 モデルマウスでは、腎糸球体でのTGF-β1の発現増加が糸球体上皮細胞障害の増悪因子であると考えられ、HGFは、このTGF-β1の発現を抑制することが示唆された。本研究から、HGFは、本症の初期変化であるGBMの変性および上皮細胞障害を抑制できることが明らかになった。
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