2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児期のミトコンドリア異常症における頭部画像検査による病態解析
Project/Area Number |
16790574
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
沖永 剛志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30362734)
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Keywords | ミトコンドリア異常症 / PET / SPECT / MRS |
Research Abstract |
【対象と方法】Leigh脳症2例、ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDHC)異常症2例、MERRF2例、MELAS1例、CPEO1例を対象としMRI, MRS, SPECTおよびFDG-PETを施行した。 【結果】Leigh脳症では2例とも乳児期より重度の精神運動発達遅滞を呈した。MRIでは軽度の大脳萎縮と基底核のT2 prolonged areaを認め、MRSでは基底核での乳酸のピークを認めた。SPECTでは2例とも正常の血流パターンであったが、PETでは1例で基底核のブドウ糖低代謝を認めた。PDHC異常症は重度の精神運動発達遅滞を認めWest症候群を発症した。MRIにて高度の大脳萎縮、脳梁欠損を認め、MRSでは大脳と基底核での乳酸のピークを認めた。SPECTでは大脳全般の脳血液低下を認めた。PETでも大脳全般が著明な低代謝を認めたが、基底核は保たれていた。MERRFの1例では幼児期より小脳失調、ミオクローヌスを呈し、学童期に外眼筋麻痺が急性増悪し中脳に病変をきたし、MRSで乳酸のピークを認め、後に萎縮をきたした。症状が増悪した際にFDG-PETでは低代謝領域を認めたが、タウリン投与後のPETでは正常化した。MELASのstroke like episodeの際ではMRSにて病変部位の乳酸のピークを認めPETでも低代謝となり代謝性の障害が示唆された。その後L-アルギンの投与によりstroke like episodeは減少した。CPEOでは視床と中脳にMRSで乳酸のピークを認めPETでは同部位の低代謝を認めた。 【考案】Leigh脳症では基底核の障害、PDHC異常症では大脳全体の著明な障害が示された。MERRF、CPEOでもMRSで乳酸のピークを認める例ではPETでも低代謝となり、MELASでは急性期でみられた病変はPETで低代謝となり、PETはミトコンドリア異常症の病勢をあらわすと考えられた。
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