2004 Fiscal Year Annual Research Report
ノイラミニダーゼ阻害薬を用いたインフルエンザの発症予防
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16790591
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新庄 正宜 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20276314)
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Keywords | インフルエンザ / ノイラミニダーゼ阻害薬 / オセルタミビル / 接触後予防 / 院内感染 / 小児 / poslexposure prophylaxis / 予防内服 |
Research Abstract |
インフルエンザの流行期には、その潜伏期間中に入院し、入院後に発症(いわゆる持ち込み)する患児が発端者となり、小児病棟内でインフルエンザが流行することがある。ノイラミニダーゼ阻害薬の投与が家族内や高齢者施設内でのインフルエンザ伝播防止に有効とされているが、院内感染防止にノイラミニダーゼ阻害薬を使用した報告はない。 2002-2003年のインフルエンザシーズンに、関東圏の2つの病院の小児病棟においてインフルエンザの院内発症があり流行の拡大が懸念されたため、途中から保護者の同意を得て、流行終息目的でオセルタミビルの予防内服(2mg/kg/dose、最高75mg/dose、1日1回、7〜10日間)を実施した。患者の持ち込みによりインフルエンザが院内発症した事例は3回(A型1回、B型2回)あり、のべ29名の患児が病棟においてインフルエンザ患者に接触した。インフルエンザ発症者はオセルタミビル(治療量)を内服し、隔離した。3事例を通して、予防内服を行わなかった16例のうち11例(69%)がインフルエンザを発症した。一方、接触24時間以内にオセルタミビル予防内服を開始した13例では、インフルエンザの発症はなかった。予防内服による副反応は認められなかった。 以上の内容を、感染症学雑誌(78:262-269,2004)で「小児病棟における、インフルエンザ接触者へのオセルタミビル予防内服効果」というタイトルで報告し、本研究費を投稿料などに充てた。また、同内容を第36回日本小児感染症学会総会(2004年11月12日、東京)のイブニングセミナーで「インフルエンザの臨床〜予防と治療の問題点〜抗インフルエンザ薬による予防」というタイトルで講演した。 なお、家族内発症における予防内服については対象事例がなかったため、その必要性も含め次年度に繰り越す予定である。
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