2004 Fiscal Year Annual Research Report
テロメレース阻害剤の網膜芽細胞腫に対する抗腫瘍効果
Project/Area Number |
16790594
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
秋山 政晴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80266585)
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Keywords | テロメレース / テロメア / 網膜芽細胞腫 |
Research Abstract |
染色体の末端に存在するテロメアは細胞分裂に伴い一定の割合で短縮すること、さらには極端に短縮すると細胞は分裂することができなくなる(細胞老化)ことが知られている。一方、テロメレースは逆転写酵素の1つで、染色体末端のテロメア配列を伸長させることにより細胞の分裂寿命を延ばしたり、テロメア配列の損傷修復を行い、染色体の安定化を図る役割を持っている。テロメレース活性を制御しているhTERT遺伝子を白血病細胞株K562に導入すると、特にDNA損傷を与える抗腫瘍剤や放射線に対して耐性を持つことを私は報告している。また、すでに多発性骨髄腫細胞株において、テロメレース阻害剤によりテロメレース活性は阻害されて、細胞分裂に伴いテロメアの短縮が起きることを確認している。そして、テロメア短縮による細胞増殖停止に伴い、p53やp21の発現が増加することを報告している。 小児の正常細胞のテロメアは元々長いため、腫瘍細胞のテロメアが短い場合には、テロメレース阻害剤による抗腫瘍効果がより腫瘍細胞に認められることが期待される。しかし、小児腫瘍領域でのテロメレースを標的とした腫瘍細胞老化誘導療法の研究はまだ少ない。本研究課題では、網膜芽細胞腫でのテロメレース阻害剤の臨床応用の可能性を探るため、Y79細胞株を用いて検討した。Y79細胞はテロメレース活性を強く発現しているが、一方テロメア長は短縮している。このY79細胞にテロメレース阻害剤を作用させると、テロメレース活性は強く抑制され、テロメア長は徐々に短縮し、培養3〜4週間で細胞増殖抑制が認められた。この時、細胞周期ではG1期とsubG1期の増加を認めた。さらにウエスタンブロッティングでp53やp21蛋白の発現が増加していた。このことは、Rb蛋白の異常を認める網膜芽細胞腫でもテロメレース阻害剤の抗腫瘍効果が期待されることを意味すると考えられる。
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Research Products
(5 results)