2004 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症マウスモデル(Ts1Cje)を用いた体系的遺伝子発現解析
Project/Area Number |
16790604
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
天野 賢治 独立行政法人理化学研究所, 神経遺伝研究チーム, リサーチアソシエイト (60333340)
|
Keywords | ダウン症候群 / Ts1Cje / 遺伝子発現解析 / 過剰発現 / トリソミー / GeneChip / 生後0日目 / Affymetrix |
Research Abstract |
ダウン症候群はヒト21番染色体トリソミーにより発症する。発症メカニズムには大きく分けて二つの仮説があり、21番染色体上遺伝子の過剰発現によるというものと、染色体異常そのものが細胞のホメオスタシスに影響し疾患につながるというものである。二つの仮説にはそれらを支持する幾つかの結果が報告されているが、未だ発症機序の解明には至っていない。ヒト21番染色体に相同なマウス16番染色体領域を部分トリソミーで持つTs1Cjeマウスは、学習行動障害や顔貌異常を呈し、ダウン症のマウスモデルとしてきわめて有用である。我々は生後0日目のTs1Cjeマウスにおける体系的な遺伝子発現様式を調べるため、約11,300遺伝子を対象としたマウスGeneChip(Affymetrix社)を用いて解析を行った。Ts1Cje及び正常マウスにおいて発現が観察された遺伝子数は、共に40%弱であり差は見られなかった。しかし、個々の発現している遺伝子について発現量の比較を行ったところ、Ts1Cjeマウスにおいて発現量に亢進が見られた遺伝子は、16番染色体上のトリソミー領域に集中していた。また、トリソミー領域にある遺伝子のうち発現しているものは、その発現量が一様に1.5倍前後に亢進していた。一方、マウス16番染色体上のトリソミー領域外、或いは16番染色体以外の遺伝子については、顕著な発現量の変化は見られなかった。以上の結果から、ダウン症患者でも同様に、21番染色体上遺伝子の発現は約1.5倍に増加していることが示唆され、ダウン症の発症は21番染色体上遺伝子の過剰発現によるとの仮説を支持するものであることを報告した(Amano K. et al., Hum.Mol.Genet.,13,1333-1340,2004)。
|
Research Products
(1 results)