2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790606
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤木 豊 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (90344887)
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Keywords | 胎児 / 遺伝子治療 / 妊娠 |
Research Abstract |
本研究では国立感染症研究所、筑波医学実験用霊長類センターで飼育されているカニクイサルを用いた。本サルの平均妊娠期間は163日である。 第1にサル胎仔の大きさの測定を超音波断層装置により施行した。胎仔心拍は妊娠30日頃に同定可能となり、妊娠40日頃には頭殿長20mmと、ベクターや細胞の腹腔内投与可能なサイズに発育した。胎仔血管内(心腔内)への投与が技術的に可能と思われるのは妊娠100日頃であった。 第2にサル胎仔への細胞注入を試みた。全身麻酔を施したサルを仰臥位に固定し、リアルタイム断層映像下に注入操作をおこなった。 (a)胎仔腹腔内投与:妊娠43日(n=2)、妊娠45日(n=1)のサル胎仔を用い、超音波ガイド下に細胞を腹腔内注入した。技術的に腹腔内注入は可能であり、被移植胎仔3匹すべてが生存し、正期産に至った。 (b)胎仔臍帯静脈内投与:胎仔臍帯径は妊娠138日には4mm、妊娠158日には5mmであった。妊娠サル6匹(妊娠136日、141日、144日、146日、152日、157日)の胎仔臍帯静脈内に細胞を注入した。本手技により胎仔死亡に至った症例はなかった。 第3に胎仔採血を試みた。胎仔期での解析目的に、胎仔より採血する手法であるが、安全に施行できる時期や採取量は不明である。その確認のため、妊娠各時期において様々な量の胎仔採血を試みた。その結果、妊娠125日での5ml、131日での7ml、妊娠144日での8mlの胎仔採血が可能であり、各例満期正常分娩となった。一方妊娠126日に10mlの胎仔採血を行ったサルは、その後胎仔が子宮内死亡に至ったことから、適正な採取量はせいぜい8ml程度までと推察した。この時期には胎仔採血不成功例はなかった。 本研究により得られた基礎データに基づき、今後遺伝子導入細胞を用いた研究を遂行していく予定である。
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