Research Abstract |
18トリソミーは1/4000〜8000人に見られる頻度の高い染色体異常症である.自然歴には未だ明らかになっていないことが多い.そのため,人工換気や手術治療を含めて積極的に対応する施設がある一方,出生時から積極的な蘇生をしないことを含めた治療の制限を考慮する施設もあるなど,施設間の格差が問題となっている.本研究の目的は,18トリソミーの自然歴を明らかにし,合併症に対する管理指針を構築することである.そのために,長野県立こども病院における18トリソミー症例の臨床的研究および「18トリソミーの会」における質問紙調査を行った.前者において,呼吸循環管理,消化管奇形に対する外科的手術を含めた栄養管理など標準的新生児集中治療により生存期間が大幅に伸びることを示した.このデータは第回日本小児科学会で発表し,現在欧米専門誌に投稿中である.後者においてもデータ収集を完了し,日本における18トリソミー児の妊娠分娩状況,出生後の症状と管理状況,成育状況,福祉状況の全貌を明らかにした.特に,積極的治療を行う施設と治療に制限を設ける施設がほぼ同数であったこと,人工呼吸管理を施行された児の半数で離脱できたこと,在宅生活ができた児が約半数いたこと,および,10歳以上の長期生存児を5名確認したことは,診療上重要な意味を持つと考えられる.結果は,長野県小児保健研究会,遺伝カウンセリング学会,人類遺伝学会,小児遺伝学会,米国人類遺伝学会,未熟児新生児学会,長野県周産期カンファレンス,18トリソミーの会・公開セミナーで発表した.
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