2004 Fiscal Year Annual Research Report
DHA,EPAを含有した人工脂肪乳剤の代謝と脳内脂肪酸組成に対する効果の研究
Project/Area Number |
16790615
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
水谷 佳世 昭和大学, 医学部, 助手 (70338515)
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Keywords | EPA / DHA / 脂肪乳剤 |
Research Abstract |
当年は既存の人工脂肪乳剤(イントラリポス^<TM>)とDHA/EPA含有の脂質(いくら由来)から新しい人工脂肪乳剤の作成を試みている。いくらから精製されたEPA/DHAを豊富に含んだ脂肪乳剤は、その性質上不飽和結合の特性から、過酸化脂質の出現が予想されていた。当研究においてもやはりHPLCで過酸化脂質が検出された。 したがってこの精製された脂質を生体(ラット)に経静脈的に投与する来年度の研究を行うにあたって、改善点として(1)乳剤の精製時、ultrasound sonicationをおこなうと温度が50℃程度に上昇してしまうのを目標30℃程度に低下させる。(2)上記操作時にあらかじめアスコルビン酸とトコフェロール等の抗酸化剤を添加する。(イントラリポス^<TM>には大豆由来のトコフェロールが既に存在しているがやはり時間の経過とともに過酸化されてしまう。) また脂肪を乳化せずラットにDHA/EPAを直接静注し、ラットの腸間膜リンパ管からリンパ液を採取する。これを超遠心しカイロミクロンを抽出する。このカイロミクロンを別塗のラットに静注し代謝分布について検討する方法も考えられる。この方法であればおそらく過剰な熱が加わらないため過酸化脂質の発生はないものと思われる。 以上の方法をそれぞれ検討しながら来年度はDHA/EPAの代謝、静脈投与された脂肪乳剤あるいはカイロミクロンの臓器分布を明らかにしたい。 本年度は第19回欧州周産期学会で人工脂肪乳剤の過酸化物について発表を行った。周産期、特に新生児/未熟児領城において脂肪を含めた経静脈的な栄養素の投与は施設や国によって様々な容量/方法がなされており、参考になった。また過酸化脂質のような酸化物やラジカルは新生児/未熟児領域で種々の疾患(慢性肺疾患、未熟児網膜症の原因ではないか?とされており興味深かった。
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