2005 Fiscal Year Annual Research Report
妊婦の受動・能動喫煙に起因する子宮内胎児発育抑制のメカニズム
Project/Area Number |
16790616
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
初鹿野 見春 日本医科大学, 医学部, 助手 (60350112)
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Keywords | 喫煙 / 子宮内発育抑制 / ニコチン / パッチクランプ / Kチャネル / Caチャネル |
Research Abstract |
平成17年度はヒト臍帯動脈平滑筋細胞(HUASMC)を培養し,HUASMCに存在するKチャネル,Caチャネルへのニコチンの影響をパッチクランプ法で検討した. 方法:HUASMCをCAMBREX社(米国)より購入し,細胞を継代培養した.細胞は酵素処理により分離,単一細胞にしてK電流ならびにCa電流を測定した.すべての実験は37℃で行なった. 成果:1.HUASMCに外向きK電流が存在した.2.外向きK電流はニコチンで増加した.その増加率は20〜40%であった.3.ニコチン受容体拮抗薬で前処置をするとニコチンによるK電流の増加は抑制された.4.外液に1.8mM Ca^<2+>を加えた条件ではHUASMCにCa電流は見られなかった. 考察:ニコチンによりヒト臍帯動脈は収縮し,受動,能動喫煙を問わず,喫煙による子宮内胎児発育不全をもたらすと予想していたが,以上の結果からはそれを証明することはできなかった.ニコチンによる血管収縮作用はイオンチャネルへの急性かつ直接の作用ではなく,別の作用によりもたらされている可能性が示唆された.さらに,血管収縮には内皮細胞の役割も重要であるため,今後ヒト臍帯動脈内皮細胞の血管収縮・弛緩への役割についての研究が進められることが期待される.
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