2004 Fiscal Year Annual Research Report
創傷治癒における各種増殖因子が及ぼす細胞内シグナル伝達解析と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
16790622
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
安部 正敏 群馬大学, 医学部, 講師 (80302462)
|
Keywords | コラーゲンゲル / b-FGF / 創傷治癒 / G蛋白 / Rhoファミリー |
Research Abstract |
生体内において創傷治癒に深く関与すると考えられる、b-FGF、HGF、LPAおよびPDGFについてヒト線維芽細胞含有コラーゲンゲル収縮能を検討した。コラーゲンゲルモデルはゲル製作後、すぐに培養液中のゲルを遊離しその上で増殖因子にて刺激する系と、ゲル製作後、ゲルをディッシュ底につけたまま24時間血清存在下で培養し、その後非血清含有培養液内でゲルを遊離させ、増殖因子にて刺激する系を作成した。これらについて、前者はFloating matrices contraction (FMC)と称し創傷治癒の初期段階、後者はStressed matrices contraction (SMC)と称し創傷治癒の晩期段階のモデルとして認識されている。その結果、b-FGFは濃度依存的にEMCを惹起したが、SMCはおこさなかった。またHGFはゲル収縮を惹起させなかった。一方、LPAはFMCおよびSMCの両者を惹起したが、PDGFはFMCのみを惹起した。これらゲル収縮のメカニズムを検討する目的でsmall G蛋白の一つであるRhoの下流にあるRhoキナーゼ阻害剤であるY27632を加えて同様の検討を行ったところ、b-FGFとPDGFにより惹起されるFMCはY27632添加によりその効果が阻害されたが、LPAにより惹起されるFMCに関しては、影響を及ぼさなかった。また、LPAにより惹起されるSMCに関してはY27632添加によりその効果が阻害された。これらの増殖因子のうち、最近皮膚潰瘍治療薬として臨床応用されたb-FGFについて、2次元での細胞形態に与える影響をファロイディン染色により検討したところ、b-FGF添加によりヒト線維芽細胞はラメロポディアの構造を呈した。以上よりb-FGFはRacを活性化することで細胞遊走を引き起こす可能性が示唆された。
|