2005 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎由来の表皮角化細胞における転写調節因子の解析
Project/Area Number |
16790625
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井川 健 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00372441)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 表皮角化細胞 / IgE / 好酸球 |
Research Abstract |
1.表皮角化細胞由来のeosinophil chemoattractant(galectin-9、eotaxin)産生の検討 アレルギー性の皮膚の炎症に重要な役割を果たすと考えられる細胞の一つに好酸球があるが、その炎症反応への関わりは未だ検討事項を残している。我々は、好酸球を炎症の場に誘導する役割を持つ、eosinophil chemoattractant(galectin-9、eotaxin)が皮膚を構成する細胞からどのように産生されているのかを検討した。 手術検体から分離・採取した表皮角化細胞または線維芽細胞を材料とした。Th1型の刺激としてのIFN-gamma、Th2型の刺激としてのIL-4によって、各細胞が産生するgalectin-9、eotaxinをmRNAレベル、タンパクレベルで測定し検討した。Real-time PCR、ELISA、Cell-based ELISA、免疫組織染色等のテクニックを用いて検討した。線維芽細胞を刺激して得られたeosinophil chemoattractantの産生パターンはこれまで報告されてきた結果と同様であった。しかしながら、表皮角化細胞におけるeosinophil chemoattractantの産生パターン(特にgalectin-9)は線維芽細胞からの産生パターンとは正反対となること(表皮角化細胞由来のgalectin-9はIFN-gammaによって産生が抑制されるが、線維芽細胞においてIFN-gammaは産生促進に働く)を明らかにした。前年度までの結果に追加したデータを盛り込んで論文を作製し、欧文誌に投稿した。出版許可を得、現在、印刷待ちの状態である。 2.表皮角化細胞のChemokine産生にIgEが影響を与える可能性について アトピー性皮膚炎の一つの特徴に高IgE値がある。我々は、表皮角化細胞を材料にして、IgEの存在が与える影響についての検討を行っている。 IFN-gammaあるいはIL-4によって刺激した表皮角化細胞を、さらに各濃度のIgEにより刺激をおこない、mRNAあるいは培養上清を採取した。Real-time PCRあるいはELISAの各種方法をもちいて、産生されたChemokine(CCL17あるいはCCL22など)のレベルを検討した。IgEの存在が、Chemokineの産生に影響を与える結果がえられており、さらに検討を継続中である。
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