2005 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎とそのモデルマウスにおけるNK細胞の解析
Project/Area Number |
16790630
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kanazawa Medical Center |
Principal Investigator |
島田 由佳 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), 研究員 (60303301)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / NK細胞 / IFN-γ / フローサイトメトリー / 細胞内サイトカイン |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎(AD)患者15例と健常人13例より採取した末梢血を採取し、フローサイトメーターによって、NK細胞表面上の活性化・不活性化マーカー(CD8,CD16,CD27,CD56,CD57,CD94,CD95)発現に関して、2重染色解析を行った。その結果、AD患者ではNK細胞上の不活性化マーカーであるCD57の発現レベルと発現率が有意に低下していた(発現レベル:580.2±223.8 VS 909.2± 152.5,p<0.05,発現率:53.3±8.8 VS 65.7±3.8%,p<0.05)。また、活性マーカーであるCD27の発現率が有意に上昇していた(23.0±8.6 VS 15.5±3.1%,p<0.05)。その他のマーカーに関しては、AD患者と対照との間に有意差を認めなかった。 次に、末梢血の一部にPMA、Ionomycin、Brefeldin Aを含むRPMI培養液を加え、37℃で4時間培養した。培養後、細胞をFITC標識抗ヒトCD56抗体で染色し、溶血処理と白血球細胞膜透過性を高める処置を行った後、細胞をPE標識抗IFN-γ抗体、PE標識抗IL-13抗体で染色した。固定後、フローサイトメーターを用いて、細胞内サイトカインに関する3重染色解析を行った。その結果、AD患者ではNK細胞内のIFN-γ陽性率が有意に低下していた(47.8±15.8 VS 64.0±13.2%,p<0.05)。IL-5、IL-13、およびIL-10に関しては、全体に発現率が低く、AD患者と対照との間に有意差を認めなかった。NK細胞を単離培養した上清中のIFN-γ濃度は、重症例では中等症、軽症例よりも有意に低値を示し、各患者末梢血中の総IgE濃度や好酸球数との間に有意な負の相関を認めたという前年度の研究結果も合わせて考察すると、ADにおいてNK細胞の量的・機能的異常が起点となって、ADにおける高度なTh2への偏位が生じている可能性が考えられた。今後は、Real time PCR法によるNK細胞内のIL-5、IL-10、IL-13、IFN-γのmRNA発現量の定量や、ADモデルマウスにおけるNK細胞の解析を予定している。
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