2004 Fiscal Year Annual Research Report
メラノーマにおけるMITF‐Mを用いた抗腫瘍効果の検討及び色素上皮由来因子の関与
Project/Area Number |
16790632
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
北村 玲子 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (50311692)
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Keywords | メラノサイト / MITF / メラノーマ |
Research Abstract |
背景 小眼球症関連転写因子MITFはメラノサイトと網膜色素上皮細胞の両方の分化に影響する遺伝子の代表であり、なかでもMITF-Mアイソフォームはメラノサイトおよびメラノーマのみで特異的に発現されている。さらに近年MITFはメラノサイト及びメラノーマにおいて、アポトーシス抑制因子であるBcl-2を介して細胞増殖に関わっていることがわかってきた。我々はメラノーマにおけるMITF-Mの機能に着目し、まずヒトメラノーマ原発巣及び転移巣でのMITF-M発現を検討した。 結果 転写因子MITF-Mの発現を蛋白レベルで確かめるため、免疫組織染色を行った。MITF-M抗体については、我々が設計したMITF-Mアイソフォームにのみ特異的なN末領域に対するペプチド抗体を用いて行った。皮膚腫瘍ではメラノーマ原発巣およびリンパ節転移部全例でMITF-Mの発現が認められ、これまでメラノーマの特異的なマーカーとされてきたHMB45陰性の部分でも陽性所見が得られた。ごまた扁平上皮癌、基底細胞上皮腫、ボウエン病などの上皮系腫瘍では、MITF-Mの発現は認められなかった。一方肥満細胞はMITF-Eアイソフォームを主に発現していることが知られているが肥満細胞腫ではMITF-M抗体で染色されなかった。以上より、我々の作製したMITF-M抗体は、メラノサイト及びメラノーマに発現しており、特異的なマーカーとして有用である可能性が示唆された。
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