2006 Fiscal Year Annual Research Report
早期悪性腫瘍細胞の炎症性および創傷因子による間質への接着能の変化を検討する
Project/Area Number |
16790633
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
村田 浩 信州大学, 医学部, 助手 (70262722)
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Keywords | 表皮内悪性黒色腫 / acral melanoma / 細胞株 / エンドセリン / カルシウム |
Research Abstract |
作成しえた早期の悪性黒色腫細胞について、その性質を検討した。成育中の細胞も合わせ、本研究で培養しえた早期黒色腫細胞は全て足底からのものであった。腫膓細胞はendothelin 1,あるいはhepatocyte growth factorやstem cell factorに増殖を依存していた。Endothelin 1依存のものについては詳細な解析が可能であった。この細胞はcyclin D1とTelomeraseの遺伝子の増幅が認められ、蛋白レベルでもwestern blotやTRAP assayで発現の増加が確認できた。黒色腫の癌抑制遺伝子として有名なCDKN2AやPTENの遺伝子に異常はなく、p16/INK4A蛋白やPTEN蛋白の発現の亢進も認めた。また、黒色腫で変異がしばしば認められるBRAFやNRASの遺伝子も変異を認めなかった。これらの遺伝子的特長は、Bastianらの報告に見られるacral melanomaの特徴と一致していた。Endothelinのリセプターは正常メラノサイトと同じType Bを使用しており、その活性化で細胞外calciumが細胞内に導入されることが増殖刺激となっていた。 ゼラチンコートと培養プラスチックコートで接着能に差は無かったが、増殖速度はゼラチンコートでやや抑制された。浸潤能を運動性が高い悪性黒色腫細胞株の888melと比較したが、培養条件下では早期悪性黒色腫細胞と888mel細胞の間で差は認められなかった。 以上のことから、足底の黒色腫に関しては、早期病変と浸潤病変での腫瘍細胞の一番の違いは接着能や間質との関係ではなく、endothelin 1やhepatocyte growth factorといった角化細胞由来の成長因子に対する依存性が残っているかいないかであることが示唆された。
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Research Products
(1 results)