2004 Fiscal Year Annual Research Report
水疱症をモデルとした表皮細胞接着構造解離の極性と蛋白リン酸化の関与の解析
Project/Area Number |
16790634
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
江崎 智香子 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (70283306)
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Keywords | 自己免疫性水疱症 / 尋常性天疱瘡 / 落葉状天疱瘡 / ケラチノサイト / デスモソーム / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究は、落葉状天疱瘡抗体によって惹起されるデスモソーム構成分子間の結合の形態的変化と水疱部での細胞接着の離解における極性について尋常性天疱瘡との比較で解析し、その変化における蛋白質リン酸化の関与を検証することで、細胞骨格・接着分子の機能解析を重層上皮である皮膚の特性から3次元的な解析による細胞の極性に着目し行うものである。本年度はまず水疱症患者の生体皮膚におけるデスモグレインI, IIIを中心としたデスモソーム構成蛋白の分子間相互作用の形態的検討を、落葉状天疱瘡、および尋常性天疱瘡患者、健常人の3群に分け、それぞれ生検で得た皮膚組織の凍結薄切標本で、デスモソーム構成蛋白の抗体2種を1次抗体として組み合わせ、二重染色し蛍光顕微鏡で観察した。落葉状天疱瘡では臨床症状の重症度によらず、デスモグレインIは、細胞内領域に対する抗体でdot状に観察され、この所見は側面の水平方向の接着より、上下面の垂直方向の接着に関わる方向に偏在してより強く現れていた。また大量ステロイド投与における抗体価の推移は天疱瘡の病型によらず、(厚生労働省特定疾患皮膚・結合組織疾患研究稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究平成16年度第1回総会2004年7月発表、第26回水疱症研究会2004年10月発表)、一方で高抗体価が持続しているにもかかわらずステロイド不使用でも症状の消退、すなわち抗体結合後の反応抑制の可能性を期待できる薬剤での治療例を経験し(第103回日本皮膚科学会総会2004年4月発表)、今後の培養系での再現性を検討するのにあたり意義ある知見を得た。
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