2004 Fiscal Year Annual Research Report
メラニン合成蛋白質とRab7における細胞内輸送機構の解析
Project/Area Number |
16790650
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
廣崎 邦紀 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00363705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神保 孝一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30094238)
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Keywords | メラニン / メラノソーム / メラノサイト / トランスジーン / 低分子G蛋白 / 色素異常症 / トランスジェニックマウス / Rab蛋白 |
Research Abstract |
メラノソーム蛋白であるチロシナーゼ(TYR)、チロシナーゼ関連蛋白(TYRP1)、基質蛋白(gp100)はいずれもゴルジから初期段階のメラノソームに直接輸送されるが、TYR、TYRP1はいずれもトランスゴルジネットワーク(TGN)からエンドソームを経由してgp100陽性の早期メラノソームへ小胞輸送される。TYR、TYRP1は後期エンドソームで複合体を形成してメラノソームに運ばれるという報告があるが、この2つの蛋白質のTGNからメラノソームまでの輸送経路が同一であるか否かはまだわかっていない。今回の研究において、Rab7N125Iをメラノサイトに発現させたところ、TYRP1のメラノソームへの局在が選択的に阻害された。この結果はTYRP1がRab7の関与する早期エンドソーム・後期エンドソーム経路を通ってメラノソームに輸送されること、一方で、TYRはこの経路を経由せずにメラノソームへ輸送されることを示唆する。 Rab7はRab7結合蛋白質のひとつRILPと結合することにより、後期エンドソームやリソソームの膜状にダイニン-ダイナクチン複合体を誘導し、微小管上でのオルガネラの(-)方向への細胞内輸送を調節している。メラノソーム膜上にもRab7が局在することが報告されており、Rab7がメラノソームの細胞内輸送にかかわっている可能性がある。実際、Rab7N125Iの発現によってgp100陽性のメラノソームは核周囲への集合性を失い、細胞質辺縁に散在した。この結果はRab7が早期メラノソームの(-)方向への細胞内輸送を調節していることを示唆する。 今回の実験において、Rab7N125Iのベクターの遺伝子導入効率はRab7wtのものより低かった。2つのプラスミドはRab7のN125Iに相当する点突然変異以外同一の塩基配列を有しており、遺伝子導入効率の違いはRab7N125Iの機能に内在する作用によると考えられる。Rab蛋白の一つであるRab27aの優性阻害変異体は野生型よりも細胞内で早く分解されると報告されており、Rab7N125Iも細胞内で不安定である可能性が考えられる。 近年、Rab7のL129F、V162Mの変異がCharcot-Marie-Tooth type 2B(CMT2B)の患者で報告されたが、今までにCMT2Bが色素異常症を合併したとの報告はない。本研究の結果はRab7の機能抑制がTYRP1のみに影響し、メラニン合成に重要なTYRの輸送には影響しないことを示唆している。そのためRab7の変異をもった個体はわずかな色素変調しか示さず、色素異常症として検出されていない可能性がある。
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