2004 Fiscal Year Annual Research Report
殺菌ペプチドβ-デフェンシンとLL-37のマスト細胞やケラチノサイトに対する作用
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16790660
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
ニヨンサバ フランソワ 順天堂大学, 医学部, 助手 (60365640)
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Keywords | マスト細胞 / ケラチノサイト / ヒトβ-デフェンシン / Cathelicidin LL-37 / サイトカイン / ケモカイン / 自然免疫 / 皮膚疾患 |
Research Abstract |
最近、殺菌ペプチド・ヒトβ-デフェンシン(hBD)とcathelicidin LL-37が注目され、乾癬やアトピー性皮膚炎(AD)の病態に関与することが知られている。また、マスト細胞やケラチノサイトが乾癬やADに関与していることから、hBDやLL-37がこれらの細胞に作用すると思われる。さらに、乾癬やADにおいて、IL-18等のサイトカインが過剰に発現しているという報告がある。そこで、hBDとLL-37のマスト細胞やケラチノサイトに対する作用について検討した。 その結果、hBD-2,-3,-4とLL-37がIL-18放出を誘導することがわかり、これらのペプチドの相乗効果も確認した。一方、hBD-1のケラチノサイトに対する作用はなかった。しかし、角化したケラチノサイトには、hBD-2,-3,-4とLL-37だけではなく、hBD-1によるIL-18の放出量はさらに増大した。また、hBDとLL-37はIL-18のmRNA発現を増強した。hBDとLL-37がMAPキナーゼp38とERKのリン酸化を惹起し、さらに、p38とERKの阻害剤はhBDとLL-37によるIL-18放出を抑制した。よって、hBDとLL-37はMAPキナーゼp38とERKを介してIL-18放出を誘導すると思われた。hBDやLL-37のケラチノサイトに対するIL-1β、GM-CSF、RANTESやMCP-1産生の作用を認められなかった。 また、hBDのマスト細胞に対する作用を調べたところ、hBD-3とhBD-4はマスト細胞の脱顆粒、細胞内Ca^<2+>動員とPGD_2産生を誘導した。しかし、hBD-3だけがマスト細胞の遊走作用を誘導した。 したがって、hBDやLL-37は、感染部位において殺菌作用を示すだけではなく、ケラチノサイトやマスト細胞を刺激することによって炎症反応と自然免疫に関与していると思われます。
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