2005 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲マルチモダリティ・ニューロイメージングを用いた統合失調症の異種性の解明
Project/Area Number |
16790675
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠井 清登 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80322056)
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Keywords | 統合失調症 / マルチモダリティ / ニューロイメージング / 近赤外線スペクトロスコピー / 核磁気共鳴画像(MRI) / 事象関連電位 / 異種性 / バイオロジカルマーカー |
Research Abstract |
3次元MRI・近赤外線スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy ; NIRS)・脳波計測を組み合わせた非侵襲マルチモダリティ脳計測技術を用いて、統合失調症における生物学的異種性マーカーの検索を目的とした。3次元MRIにおいては、統合失調症患者において、顔認知に重要な紡錘状回体積が、人格特性のうち外向性の程度と相関することを示し、統合失調症患者群における個人差の存在を示唆した。事象関連電位計測においては、統合失調症における上側頭回の聴覚情報処理過程を反映するmismatch negativityの異常の程度が、言語性記憶の異常、社会生活機能、リハビリテーションプログラムによる社会生活技能の改善とそれぞれ相関することを示した。また、統合失調症における能動的情報処理過程を反映する事象関連電位成分P300の異常が統合失調症の中核症状である思考障害レベルと相関することを示した。これらのことから、mismatch negativityやP300が統合失調症の認知機能・社会機能上の異種性を反映するバイオロジカルマーカーとなる可能性を示唆した。NIRSを用いた検討では、統合失調症における語流暢性課題施行時の前頭部酸素化ヘモグロビン変化量が社会機能レベルと有意な相関を示すことを見出すとともに、Murrayによる異種性分類であるadult-onset/congenital schizophrenia分類によって語流暢性課題施行時の前頭部酸素化ヘモグロビン変化量が明瞭に異なることを見出した。このことは、NIRSが統合失調症の生物学的異種性を反映するバイオロジカルマーカーとなる可能性を示唆している。
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