2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴画像を用いた統合失調症発症前後における脳形態の縦断的研究
Project/Area Number |
16790678
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 努 富山大学, 医学部, 助手 (60345577)
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Keywords | 磁気共鳴画像 / 統合失調症 / 統合失調型障害 / 関心領域法 / 上側頭回 / 内側側頭葉構造 / 島回 / 前頭前野 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、磁気共鳴画像(MRI)を用いて統合失調症患者、統合失調型障害患者、および健常者の脳形態の横断的比較を行った。並行して縦断的比較のための症例の蓄積を行っている。以下に横断的比較に関する結果をまとめる。 1.関心領域法により統合失調症患者53例、統合失調型障害患者25例、および健常者59例の内側側頭葉構造および前頭前野の体積を比較した。両側海馬および扁桃体体積は健常群と比較して統合失調型障害群および統合失調症群で減少していた。前頭前野灰白質体積は統合失調症群で健常群および統合失調型障害群と比較して両側性に減少していたが、統合失調型障害群の前頭前野灰白質体積は右半球において健常群よりも大きかった(Suzukiら、2005)。これらの結果から海馬および扁桃体体積が統合失調症の遺伝的脆弱性に関わり、これに前頭葉の侵襲が加わることで顕著な精神病症状が発現する可能性が示唆された。さらには、統合失調型障害において前頭前野が代償的に働く可能性が示唆された。 2.関心領域法により統合失調症患者65例、統合失調型障害患者39例、および健常者72例の上側頭回体積を亜区域毎に分割して比較したところ、ヘッシュル横回の体積減少は統合失調症に特異的であったが、左側頭平面および両側上側頭回後方部の体積減少は両疾患に共通であった。さらに罹病期間1年以内の初発統合失調症群において、左上側頭回前方部体積と幻覚・妄想の重症度の間に負の相関がみられた(Takahashiら、2006)。さらに一部共通の対象者において島回体積を前後に分割して比較したところ、前後島回体積の減少は統合失調症群に特異的であった(Takahashiら、2005)。これらの結果から、ヘッシュル横回、上側頭回前方部、および島回の障害が統合失調症症状の顕在発症に関連する可能性が示唆された。
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