2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790685
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 信 京都大学, 医学研究科, 助手 (10359820)
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Keywords | うつ病 / 比較文化 / 時代 / 罪責感 / 不全感 / 日本 / ドイツ |
Research Abstract |
京都大学医学部附属病院精神科およびミュンヘン工科大学ないしミュンヘン大学附属病院精神科において実施した1960年代および1990年代のカルテ調査の結果を、質的および統計的に比較検討した。 京都およびミュンヘンの両都市大学病院精神科入院鬱病患者で年齢を揃えた患者群をカイ二乗検定で比較した結果、1960年代に比して1990年代で罪責感が有意に減少していることが示された。また、不全感は、両都市とも1960年代に比して1990年代で有意に増加していることが確認された。 鬱病患者における罪責感が減少しているという結果は、von Orelli, Kranz, Lauterらによるドイツ語圏の先行研究の結果に一致する傾向である。また、罪責感の減少および不全感の増加は、同じくドイツ語圏においてEbertらが高齢者の鬱病で行った研究の成果と一致する。本研究では、ドイツと日本にわたって同一方法において調査した結果、上記の傾向をともに確認したことになる。 罪責感の内容面では、両都市とも、家族や同僚など身近な他人に対する罪責感の表明が多くみられたが、ドイツにおいては、より具体的な自己の義務感に対する罪責感が認められた。 不全感については、両都市において、仕事などの遂行ができないという形の表明が多くみられている。 これらの結果は、ひき続き学術誌に発表していく予定である。
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