2004 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性疾患モデルマウスにおけるタウ免疫療法の可能性の検討
Project/Area Number |
16790688
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石原 武士 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60335594)
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Keywords | タウ蛋白 / 神経変性疾患 / タウオパシー / 動物モデル / 免疫療法 |
Research Abstract |
アルツハイマー病を初めとする痴呆性変性疾患は、単に医学的な問題のみならず社会的にも深刻な問題となっており、痴呆性疾患の予防や治療方法の開発は重要な課題である。我々は、多くの痴呆性疾患の病態に深く関与しているタウ蛋白をマウスの中枢神経系に過剰発現させることによりヒトでの病態をマウスで再現することに成功しており、一連の研究は国際的な評価を得ている。今後は、モデルマウスを用いてタウオパシーの病態をさらに詳細に解析するとともに、予防や治療方法の開発といった、より臨床的な研究へと発展させることを目指している。 当研究の目的は、アルツハイマー病を始めとする痴呆性疾患群をタウ蛋白関連疾患(タウオパシー)と捉える観点から、タウ免疫療法の可能性を検討することである。平成16年度は、まず、いわゆる能動免疫として、タウ蛋白そのものでモデルマウスを免疫することにより、タウ蛋白に対する抗体価の上昇を確認した上で、モデルマウスの病理学的、生化学的、行動学的な検討を行なった。 その結果、正常マウス、遺伝子改変マウスともにタウに対する抗体価は上昇したが、正常マウスでは血漿を5000倍希釈しても強い反応性を示したのに対して、遺伝子改変マウスでは抗体価の個体差が大きく、多くは200倍程度に留まった。組織学的所見としては、免疫を受けた遺伝子改変マウスにおいて、タウ病変に明らかな変化は認められなかった。生化学的にも、タウの溶解性、リン酸化状態には明らかな変化は認められなかった。これまでの結果のみからは、タウ免疫療法の効果は明らかではないが、抗体価の上昇が強かった一部の遺伝子改変マウス個体ではタウ病変の減弱を示唆する所見が得られつつあり、今後、免疫する際の蛋白量や免疫の間隔・頻度などを工夫することにより抗体価の上昇を強め、さらに詳しい検討を行なっていく予定である。
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