2005 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症候補遺伝子産物DISC1のKendrinを介した中心体での機能の解析
Project/Area Number |
16790689
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三好 耕 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (90362996)
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Keywords | 統合失調症 / 感情障害 / 感受性遺伝子 / 1次繊毛 |
Research Abstract |
統合失調症・感情障害の感受性遺伝子候補であるDISC1(Disrupted-In-Schizophrenia 1)がコードするタンパクの結合因子の検索により得られた分子のうち,calmodulin結合性中心体タンパクKendrin/Pericentrin-Bに関する解析を行った.Kendrinは有糸分裂時の紡錘体を構成する微小管の形成に関与するとされる. 中心体におけるKendrinの微小管形成作用に対するDISC1の関与を明らかにするために,in vitroの合成系において中心体分画を抗DISC1抗体で前処理してDISC1とKendrinの結合を阻害したが,星状の微小管形成は有意な影響を受けなかった.またRNA干渉によりDISC1の発現をノックダウンさせた培養細胞においても,中心体での微小管形成は阻害されなかった. 胎生期マウスの中枢神経系を含む各組織において,Kendrin mRNAはG_0期細胞に優位に発現し増殖細胞では発現は低く,有糸分裂による増殖期よりも分化期にKendrinは生物学的な意義を持つことが示唆された.さらにKendrinタンパクは胎生期マウスの中枢神経系を含む各組織において,細胞あたり1本存在する不動性の1次繊毛の基部に局在していることが見出された.これは培養細胞を用いてKendrinの1次繊毛形成への関与を示した最近の研究を支持し,哺乳類の発達段階でKendrinが繊毛形成に広く関与することが示唆された. 近年,神経細胞の1次繊毛がセロトニン6型受容体などの特異的なサブタイプの受容体を介して細胞近傍環境を感知し,そのシグナルが神経伝達を修飾するという機構が提唱されている.本研究はDISC1の結合因子としてのKendrinが神経細胞1次繊毛の形成を介してその感知機構に関与し得ることを示唆し,その機構の異常が精神疾患への脆弱性をもたらす可能性を提示した.
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