2004 Fiscal Year Annual Research Report
強迫性障害患者の病態とPET、fMRI、DTIの相関を評価する研究
Project/Area Number |
16790699
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 卓史 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (10315955)
|
Keywords | OCD / fMRI / SPECT / SSRI / 認知行動療法 / DTI / Y-BOCS / PET |
Research Abstract |
強迫性障害の臨床研究並びに生物学的成因の解明についての臨床研究経過の概要を報告する。 まず、臨床的には、従来から有効性が確立しているSSRIに治療抵抗性の症例に対して新規非定形抗精神病薬の一つであるperospironeの付加投与が有効であることを示唆する結果が得られつつある。今後は他の非定型抗精神病薬であるrisperidoneやolanzapineとの比較によりその有効性について検討し、報告する予定である。 なお、認知行動療法においても、定型的な曝露反応妨害法に導入困難な症例や効果の不充分な症例に対して、EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)を併用することで治療効果の向上、治療期間の短縮化を図っている。いまだ症例数は少ないが効果はみられており、今後症例を増やし、さらなる検討を行う予定である。 同時に、治療経過において、Y-BOCS (Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale)、PI (Padua Inventory)による強迫症状、Wisconsin Card Sorting Test、Stroop Test、Verval Fluency Test、Trail Making Testなどの認知機能評価、SPECTによる脳血流の評価、MRI拡散強調画像(DTI)による神経ネットワークについての評価を行っている。SPECTにおける脳血流データをSPM softwareにて正常対照群と比較解析し、OCD群は正常群に比して頭頂葉における血流亢進が認められるという結果が得られている。DTIとの相関とY-BOCSなどの臨床症状との相関について解析・検討を行っているところである。fMRIにおいては、SPECTの結果と考え合わせ、頭頂葉機能を反映する空間課題遂行中の脳賦活状態を検討する準備を行っている。また、PETにおいては、SPECT、PETの結果と考え合わせ、その相関について評価するべく検討を行っているところである。各種認知機能と臨床的強迫症状の変化と脳機能画像の経時的に多面的・縦断的に評価する研究は、2005年4月1日現在ではほとんどなされておらず、OCDの発症やその症状の多様性・異種性に関する神経ネットワークにおける責任病巣を解明することに寄与すると期待される。その結果、OCDに対する薬剤治療の選択や認知行動療法の工夫につながり、治療効果の向上が図れると期待される。
|
Research Products
(7 results)