2005 Fiscal Year Annual Research Report
児童期の注意欠陥/多動性障害(ADHD)の精神医学的併存症と治療反応性
Project/Area Number |
16790700
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮脇 大 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (20336788)
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Keywords | 注意欠陥多動性障害 / ADHD / 併存症 / comorbidity / 構造化面接 / 児童 / 破壊的行動障害 / 不安障害 |
Research Abstract |
目的:小児期の注意欠陥多動性障害(ADHD)児における併存症とその臨床像を明らかにすること。 対象と方法:大阪市立大学医学部附属病院神経精神科に通院中の6歳以上14歳以下の小児のうち、DSM-IVに基づいてADHDと診断された男児34例、女児7例の計41例を対象とした。併存症はJapanese Version of Schedule for Affective Disorders and Schizophrenia for School-Age Children-Present and Lifetime Version(K-SADS-PL-J)を用いて現在診断を行い、臨床面接と質問紙を用いて、その他の情報を収集した。 結果:患児の88%が何らかの併存症を伴い、37%は反抗挑戦性障害、32%は特定の恐怖症、22%は行為障害、22%はチック障害、20%は遺尿症、15%は分離不安障害、10%は全般性不安障害、10%は強迫性障害、10%は社会不安障害、2%は遺糞症、2%は適応障害のDSM-IV診断基準を満たしていた。気分障害、精神病性障害、摂食障害、物質乱用は認められなかった。不安障害を類型別にみると、暗闇を恐怖の対象とした特定の恐怖症が最も多かった。 ADHD児の内、多動性を持つ群と持たない群で比較すると、破壊的行動障害(反抗挑戦性障害または行為障害)を併存症に持つ患児数は、前者が後者より統計学的に有意に多かったが、何らかの不安障害を併存症に持つ患児数は統計学的な有意差は無かった。 結論:欧米の報告と同様に、学童期のADHD児において併存症が高率に認められ、多様な臨床像が示された。その為、今後はその多様性に即した治療介入が必要であると示唆された。
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