2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆の社会資源利用の実態と必要性に関する調査
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16790702
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 紫織 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10328346)
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Keywords | アルツハイマー型痴呆 / 脳血管性痴呆 / 訪問調査 / 介護保険 / 社会資源 / 福祉サービス / 精神科医師 |
Research Abstract |
本研究は、痴呆性高齢者を訪問調査し、アルツハイマー型痴呆(AD)と脳血管性痴呆(VaD)とで症状・臨床的特徴から必要な社会資源にどのような違いがあるかを考察することを目的として実施した。 本研究は疫学調査の要素を含んでおり、「疫学調査に関する倫理指針」(平成14年文部科学省・厚生労働省告示第2号)及び平成14年6月17日付け14文科振第123号文部科学省研究振興局長通知に定める細則に沿って、東京慈恵会医科大学の倫理委員会の審査を受け、承認を得た。 対象は平成10年度に新潟県糸魚川市において抽出した痴呆性疾患を有する65歳以上の在宅高齢者で、現在生存しており、かつ市内に在住している266名とした。対象者とその家族に対し、本研究の目的、方法、意義、及び対象者への人権保護の配慮(守秘義務等)について十分に説明した文書と調査への協力の依頼状を送付し、賛同・協力を得られた111名に対し、精神科医師と保健師が訪問調査を実施した。 痴呆の原因疾患の内訳は、AD55.1%、VaD29.5%、その他及び不明の痴呆15.4%であった。痴呆の重症度については、軽度はADで多く、中等度と高度はVaDで多かった。 VaDは合併症が多く、麻痺などによる身体的機能の低下のために介助的介護が必要となる傾向があり、介護保険でも要介護5と認定されている者が多かった。ADは初期には身体的機能が保たれるために、要介護度が低めに見積もられ、状況判断に問題がある場合や、足腰が丈夫だからこそ徘徊に対する注意的介護の必要性が高い場合などがあるにもかかわらず、社会資源利用に至らない傾向があった。ADは頻度の多い疾患であり、これを早期に発見し、注意的介護の必要性に注目した福祉サービスを開発し、活用することが進行抑制の上で有用と考えられた。 なお、本調査の結果については報告書をまとめ、その一部を第2回国際老年精神医学会で報告した。
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