2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経性食欲不振症における中枢神経系機能異常への神経細胞オートファジー関与の解明
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16790703
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
根本 崇宏 日本医科大学, 医学部, 助手 (40366654)
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Keywords | 中枢性摂食異常症 / オートファジー / 絶食 / 中枢神経細胞死 |
Research Abstract |
神経性食欲不振症は低栄養状態が長期間続き、抑うつ、不安、強迫症状、思考の狭小化などの精神症状が見られる。申請者は低栄養状態で中枢神経細胞のオートファジーが誘導され、細胞内タンパク質および細胞内小器官分解による神経細胞の機能障害が生じることが、神経性食欲不振症の病態に深く関与すると仮定し、飢餓ラットを用いた中心神経細胞死とオートファジーの誘導について検討を行った。体脂肪の蓄積がみられる200gのラットの72時間の絶食は皮下脂肪を肉眼的にほとんど消失させ、体重を絶食前に比べ30%以上、肝臓重量も40%以上(体重当たりの肝重量で20%)減少させた。脳、胃、生殖器重量は対照ラットの間に有意な変化はみられなかった。血糖値および血清タンパク質濃度は減少の傾向を示したが、有意な低下ではなかった。実験開始時の体重が170gで体脂肪の蓄積が少ないラットを用いた実験では、72時間の絶食で血糖値が対照ラットに比べ有意に低下したが、血清タンパク質に有意な変化はみられなかった。中枢神経に細胞死が誘導されるか否かについてアポトーシスの指標であるDNAの断片化をアガロースゲル電気泳動法およびApopLadderEXを用いた定量法で検討したが、72時間絶食で200gおよび170gのいずれのラットも対照ラットとの間に有意な変化はみられなかった。200gのラットの脳組織から抽出したタンパク質を用い、オートファジーの指標であるLC-3の脂質修飾をウェスタンブロット法で検討したところ、小脳で修飾型LC-3が検出されたが、大脳および視床下部では検出されなかった。170gのラットを用いた実験でも同様に小脳で修飾型LC-3が検出された。以上の結果から、絶食による小脳でのオートファジーの誘導が示唆された。血清タンパク質では対照ラットとの間に有意な変化がみられていないこと、血糖値が変化した170gのラットおよび変化のなかった200gのラットの両群で小脳にオートファジーの誘導がみられたことから、小脳組織がどのような栄養成分の低下を感知しオートファジーを誘導するかについての詳細な検討が必要であると考えられる。
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