2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミンH3受容体の可視化を目的とした新規ポジトロン放出薬剤の開発
Project/Area Number |
16790715
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
船木 善仁 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助手 (50261491)
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Keywords | [^<18>F]fluoroproxyfan / ヒスタミンH3受容体 / PET |
Research Abstract |
種々の刺激を受けたラット脳切片における[^<18>F]fluoroproxyfan([^<18>F]FPX)の動態変化 Dynamic positron autoradiography法を用いたラット脳スライスへの取り込み実験の結果、[^<18>F]fluoroproxyfan([^<18>F]FPX)の取り込みは添加後120分で平衡に達し、その量は視床で高く、海馬で低い傾向を示した。この結果はin vitro、in vivoにおける結合実験の結果を支持するものだった。また、この取り込みは非放射性のFPXの添加やH3R拮抗剤であるFUB322やthioperamideの添加により阻害されたことからin vivoと同様にH3Rに特異的であることが示された。緩衝液を高カリウム溶液(5mM→50mM)に変更した[^<18>F]FPXの取り込み実験では、全ての部位において取り込みは対照群に比べ低下した。高カリウム緩衝液を用いると神経細胞に脱分極作用が起き、神経終末からの神経伝達物質の放出が起こる。逆に緩衝液からカルシウムを除外することによってヒスタミンの合成を抑えた系では[^<18>F]FPXの取り込みは上昇した部位も見られた。すなわちH3受容体に対する[^<18>F]FPXの結合は内在性のヒスタミンと競合反応を起こす可能性が考えられた。このことから、[^<18>F]FPXがPETにおいてH3受容体の機能解析のみならず、ヒスタミンの放出を解析できる放射性薬剤になりうる可能性が期待された。
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