2005 Fiscal Year Annual Research Report
MR拡散テンソル画像法を用いた統合失調症脳白質の多角的解析
Project/Area Number |
16790722
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 晴耕 東京大学, 医学部付属病院, 助手 (70359610)
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Keywords | 拡散テンソル / 磁気共鳴画像 / 統合失調症 / 画像統計解析 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度に引き続き正常ボランティアおよび統合失調症患者の脳実質およびを対象としてMR拡散テンソル解析を施行した。当院現有のMR装置を説明と同意の下に通常検査時間外に用いて,正常ボランティアおよび統合失調症患者を対象としてMR拡散テンソル画像を撮像し,GE社製ワークステーション上で動作するテンソル解析用プログラムを用いて,trace画像およびFA画像を作成した。さらに拡散テンソル神経路画像を作成するために,当科画像情報処理・解析研究室で開発した汎用ソフトウェアVolume-Oneおよび拡散テンソル解析ソフトウェアdTVを用いて,神経路画像作成を行った。神経路をSPM(statistical parametric mapping)上で統計解析すべく,標準脳座標への変換を行うソフトウェアの作成を試みたが,技術的問題を克服できず,期待されるような変換データを得られなかった。次善の方法として,作成された神経路画像上で半自動的にROIを設定することで,恣意性の入りにくいようなROI解析を行ったところ,前部帯状束,脳弓,鉤状束におけるFAの有意な低下を見いだした。 上記とは別に,得られたデータに対してSPMを用いたMR拡散テンソル解析を施行した。正常ボランティアと統合失調症患者において,trace画像およびFA画像を用いて全脳の群間比較を行ったところ,両側鉤状束,両側傍海馬白質,両側前部帯状束などにおいて,正常ボランティア群に対する患者群でのFAの有意な低下が見いだされた。以上の結果は前年度に行ったROI解析における海馬・傍海馬領域などにおけるFAの有意な低下と矛盾しないのみならず,通常の方法ではROI設定の困難な前部帯状束や鉤状束などにおける異常の存在を示唆しており,統合失調症患者における辺縁系での何らかの障害の存在を支持するものと考えられる。
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Research Products
(1 results)