2004 Fiscal Year Annual Research Report
加速器BNCTの研究-しきい値近傍^7Li(p,n)直接中性子の標準照射モード-
Project/Area Number |
16790732
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 憲一 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (70363075)
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Keywords | BNCT / Liターゲット / BDE / 治療可能領域 / 陽子電流 / 加速器 / ターゲット除熱 |
Research Abstract |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)において治療選択性の決め手となる^<10>B(n,α)^7Li反応線量の寄与を大きくするために、しきい値近傍^7Li(p,n)直接中性子利用において導入したBoron-Dose Enhancer (BDE)による特性の検討を行った。具体的には、このうち陽子ビーム径を変更した際の特性を、(1)治療線量条件を満たす生体内領域の深さ、(2)加速器に必要とされる陽子電流値、(3)それに対するLiターゲットでの発熱密度を指標として調べた。ここで、陽子ビームは1.900MeVで、かつ、Liターゲットに一様な強度分布で入射すると仮定した。 その結果、LiターゲットアッセンブリーとBDEの距離38mmの体系において人頭ファントムと同程度までの陽子ビーム径について、陽子ビーム径が大きくなるほど、薄いBDEで治療線量条件を満たす領域を拡大でき、かつLiターゲットの発熱密度が減少するという長所があることがわかった。一方必要陽子電流は大きくなり、都合が悪いことを明らかにした。実際の陽子ビーム径選択に当たっては、技術的に実現できる陽子電流と除熱能力を踏まえた上で、TPDを大きくする観点が現実的と考えられる。なおこのとき、例えば18cmφ陽子ビームに対して、Liターゲット発熱密度が139W/cm^2と冷却可能性が予想される値であるとの知見を得た。本研究で得たLiターゲット発熱密度は、システム設計において重要なターゲット冷却系を考える際の目安としても利用できる。
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