2004 Fiscal Year Annual Research Report
リポソーム化ボロン送達システムと放射線増感物質を併用した中性子捕捉療法の開発
Project/Area Number |
16790741
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
笠岡 敏 広島国際大学, 薬学部, 助手 (90338690)
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Keywords | BNCT / リポソーム / 放射線増感物質 / BSH / DDS |
Research Abstract |
新規リポソーム化ボロン送達システムとして、DSPC,コレステロール及びDSPE-PEGを主な構成物質として用い、逆相蒸発法によって、ボロン化合物であるBSHを封入させたリポソームを調製した。さらに、能動化リガンドとして、トランスフェリンと抗HER2ヒト化キノクローナル抗体を用いた。リポソームへの結合には、EDC法と、micelle transfer法を用いた。 リガンドと脂質定量の結果、EDC法では一つのリポソームに対して、それぞれのリガンドの結合数は16,31個であったのに対し、micelle transfer法では約4倍の結合数であった。現在、細胞への取り込み実験等を行っているところであるが、現段階ではMicelle Transfer法を用いる方が有利であるように思われる。 また、トランスフェリンをEDC法で結合したトランスフェリン結合型BSH封入PEG-リポソームにおいて、DNAポリメラーゼ阻害剤であるBNCT施行時にDNAポリメラーゼ阻害剤であるカフェイン及びアクチノマイシンを併用することにより、BSH溶液、BSH封入、PEG-リポソーム、BSH封入TF-PEGリポソームの各群において、殺細胞効果を有意に増加させることが明らかとなった。また、アポトーシス抑制性タンパク質Akt阻害剤であるゲニステインを併用することによっても、同様の結果を得た。これらの結果から、一般的にBNCT施行時のDNA損傷は二重鎖切断であるといわれるが、一重鎖切断によるDNA損傷も重要であり、さらに二重鎖切断のDNAポリメラーゼによる遺伝子組み換えによる修復機能も寄与している可能性が示された。今後、同様の検討をmicelle transfer法で作製したリポソーム及び、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体を用いたリポソームにおいても検討していく予定である。
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