2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790743
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
那須 佐知子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50292602)
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Keywords | 放射線感受性 / 時間線量率 / p53 / MAP kinase |
Research Abstract |
今回の研究では,"時間線量率が与える放射線感受性の差異を分子生物学的因子,特に照射に関連したシグナル伝達を中心に,どのような違いが生じているのか"を中心に検討してきている.今年度は、放射線感受性,とくに照射後早期のアポトーシスと関連しているとされるp53を中心に実験を進めていくとしたため,用いた細胞株はwild-type p53を有し照射後早期のアポトーシスを起こすことが分かっているNMT-1,mutant-type p53を有し照射後のアポトーシスを認めずNMT1と比較して放射線抵抗性を示すNMT-1R, p53 functionを欠損し薬剤に関してはp53 independentにアポトーシスを誘導するとされているU937,を選択した.当科で所有している照射装置を用いた最も一般的な線量率の検討では,NMT-1とNMT-1Rに関してはp53 dependentな照射後早期のアポトーシスとそれに紐づく放射線感受性を示していたが,U937に関しては2Gy程度の小線量では照射後早期のアポトーシスは認めず,20Gyの大線量で照射後のapoptosisを認めた.また,以前報告している通りNMT-1ではp53 dependent apoptosisとして矛盾しない照射後のp53発現変化とその下流因子の発現変化を認めた.一方,今回の研究で新たに明らかになった結果として,NMT-Rでは照射後の変化としてMAP kinase familyの一つであるp38の経時的発現増強と,こちらは初期データなのではっきりとは言えないがJNKの発現増強を認めた.また,U937でも20Gy照射後にJNKの発現増強を認めた.これらの結果から,p53に関連しない放射線感受性にはMAP kinase familyの関与も重要なのではないかと考え,時間線量率を変えた照射で実験を継続中である.
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